超貴重!『ノルウェイの森』でビートルズのオリジナル楽曲を使用
村上春樹のベストセラーを『青いパパイヤの香り』(94)や『シクロ』(96)などで国際的に評価の高いトラン・アン・ユン監督が映画化した『ノルウェイの森』(12月11日公開)。海外でも人気の高い村上作品の実写化であることや、 松山ケンイチ&菊地凛子の起用なども話題を呼んでいる本作だが、期待ポイントと1つとして、主題歌にザ・ビートルズの「ノルウェーの森」のオリジナル版が起用されている点が挙げられる。
ビートルズの楽曲を起用したCMや映画は数多く、最近のテレビでも、成田空港や三井不動産、NTTドコモのCMなどでおなじみのメロディーを耳にすることができる。だが、その大半は別のアーティストによるカバーで、原曲が使用されている例はあまりないのだ。これはオリジナル楽曲の使用許可がなかなか下りず、下りたとしても使用料が高額なため、カバーが使われるケースが多いからだ。
これは映画でも例外ではなく、第72回アカデミー作品賞を受賞するなど高い評価を受けている『アメリカン・ビューティー』(00)のエンディング“ビコーズ”もカバーであるほか、ショーン・ペン主演『アイ・アム・サム』(02)ではほぼ全編にビートルズの楽曲が使用されているものの、全て別のアーティストによるカバーバージョンとなっている。『ノルウェイの森』と同様、ビートルズの曲名を引用した伊坂幸太郎原作『ゴールデンスランバー』(10)では、斉藤和義による“ゴールデン・スランバー”のカバーが使用されていた。
“ノルウェーの森”は、ザ・ビートルズが1965年に発表したアルバム“ラバー・ソウル”に収録されている、ジョン・レノンのボーカルにシタールの美しい響きが重なる名曲だ。原作の冒頭、飛行機の中で、僕こと主人公ワタナベが同曲を耳にするところから始まり、登場人物らによって弾き語りがされる場面も登場するなど、物語と切り離すことのできない重要な曲となっている。「ビートルズ演奏のオリジナル曲以外にはありえない」という監督の強いこだわりもうなずけるだろう。是非映画館の高品質な音響でその旋律を楽しんでみてほしい。【トライワークス】