倉科カナが語る「ウェルかめ」以降の変化と、出会いの大切さ
NHK連続テレビ小説「ウェルかめ」(09)でお茶の間の人気者となった倉科カナが、ミュージシャン松下優也の初主演映画『ヒカリ、その先へ』(10月23日公開)のヒロイン役を好演。映画、ドラマ、舞台で活躍中の倉科にインタビューし、女優としての今の心境と、映画のテーマの一つである“出会い”について語ってもらった。
本作は、まずケータイ音楽ドラマ“DOR@MO(ドラモ)”で無料配信し、劇場版でエンディングを迎えるという斬新な公開方法を取る。松下優也は本人役で主演し、倉科は彼と出会うカメラマン志望の女性・きい役に扮する。きいは写真が撮れなくてスランプ状態だが、今、仕事が絶好調の倉科は、役柄に感情移入できたのだろうか。
「私も、しょっちゅうスランプに陥ってます。私たちの仕事って、毎回新しい現場ばかりで、演技に関しても監督さんの色とかで取り組み方が違ったりするし、いつもどうしようって思ってばかりです。前に進まなきゃ、とは思っているのですが」。
でも今回はきい役よりも、業界で多忙な日々を送る中、孤独感を覚える松下優也の方に共感したという。「ユウさんは歌手として活躍している反面、普通に遊んだりとか自由なことができなくて、他の人とはちょっと違う重荷を背負っている。ユウさんの気持ちはすごくわかりますね。あまり遊びたいって気持ちもないんですが、街中にいる同世代の姿は羨ましいなと思うことがあります」。
仕事の仕方は、「ウェルかめ」に出演してから大きく変わったという。「『ウェルかめ』が終わってから強くなりました。自分で作っていくからこそ、自分の意志をちゃんと伝えるようになったんです。以前は黙っていることが多くて。でも、それは本当に良くないことなので、嫌われてもいいから良いものができるように意見を言おうと。かといって我を通さず、柔軟に。作品ごとに学ぶことが多いです」。
女優の仕事をしていて「以前よりも楽しさが増しました」という。「役作りをしている時はすごく悩むけど、出す時が楽しくて。リハよりも本番が好きです。一度出しちゃうと、同じことはもうできないから、ある程度リハまでは抑えておいて、本番で出すようにしています」。
以前より欲も出てきたともいう彼女。「頑張らなきゃいけない部分がたくさんあるから、ひとつひとつの現場で何かを得たいって思うんです。でも、いつかは演じたきいちゃんみたいに立ち止まることって絶対にあるでしょうね。その時は、夢をつかんだユウさんみたいな人に出会って刺激を受けて、前に進むってことが出来たらいいなと思います」。
出会いは、『ヒカリ、その先へ』のテーマでもある。「夢を追うきいちゃんが立ち止まっている時に、ユウさんと出会ったのは偶然ではなく必然なんじゃないかと。出会いは貴重で、何千人も何万人もいる中で出会えるってことはすごいことだから、この映画を観て、改めて自分の周りを見回してほしいなと思います」。
「ウェルかめ」で飛躍して以降、倉科カナ自身も色々な出会いを経て、右肩上がりに成長を遂げてきたのだろう。今回取材をしてみて、彼女の謙虚ながらも一本筋が通った強さと、成長過程ならではのきらめきが、とてもまぶしく思えた。【Movie Walker/山崎伸子】