【第91回アカデミー賞】監督賞はNetflixオリジナル映画『ROMA/ローマ』のアルフォンソ・キュアロン
現地時間2月24日(日本時間25日)にハリウッドのドルビー・シアターで開催された第91回アカデミー賞授賞式。監督賞はNetflixオリジナル映画『ROMA/ローマ』のアルフォンソ・キュアロン監督に輝いた。
本作は、『ゼロ・グラビティ』(13)で第86回アカデミー賞監督賞を受賞したキュアロン監督の5年ぶりの最新作。キュアロン監督の少年時代の記憶をもとにした自伝的物語で、政治的混乱に揺れる1970年代のメキシコを舞台に、若い家政婦の視点から中流家庭の1年をモノクロの映像で感情豊かに描いたヒューマンドラマだ。今回のアカデミー賞では監督賞だけでなく、作品賞、外国語映画賞など最多10部門にノミネートを果たした。
Netflix作品が監督賞に輝くという、まさに新たな時代の到来を象徴する受賞となったが、キュアロン監督は「(メキシコの)現地の女性に焦点を当てた作品」と口火を切り、「移民たちのバックグラウンド。そういった背景を描く責任を感じている。目を背けてはいけない時代です」と力強くコメント。「家族にもメキシコにも感謝しています。グラシアス、グラシアス」と心を込め、大きな拍手を浴びていた。
キュアロン監督は1961年、メキシコのメキシコシティ生まれの57歳。メキシコ国立自治大学で映画と哲学を専攻し、91年、『最も危険な愛し方』(日本未公開)で長編映画監督デビュー。『天国の口、終りの楽園。』(01)で世界的に評価され、その後『ハリー・ポッターとアズカバンの囚人』(04)の監督にも抜てきされた。07年には、同郷のギレルモ・デル・トロ、アレハンドロ・G・イニャリトゥと制作会社を設立。13年にサンドラ・ブロックを主演に迎え、宇宙飛行士が過酷な運命に立ち向かう姿を描いた『ゼロ・グラビティ』が大ヒットを記録し、第86回アカデミー賞で監督賞を受賞した。革新に挑む監督として、世界でもっとも注目を集める1人だ。
文/成田 おり枝