『神の子どもたちはみな踊る』のロバート監督&主演キャストにインタビュー!|最新の映画ニュースならMOVIE WALKER PRESS
『神の子どもたちはみな踊る』のロバート監督&主演キャストにインタビュー!

インタビュー

『神の子どもたちはみな踊る』のロバート監督&主演キャストにインタビュー!

村上春樹の短編小説を日本ではなく、アメリカで映画化した『神の子どもたちはみな踊る』(10月30日公開)。その意気込みをロバート・ログバル監督、そして主要キャストであるケンゴ役のジェイソン・リュウとサンドラ役のソーニャ・キンスキーに聞いてみた。

まずはロバート監督に、どのようにしてキャストを選んだかと尋ねてみた。「それぞれに異なる方法でキャスティングされたんだ。最初の段階から、僕がこの映画はアジア人キャストをメインにして、ロスのコリアン・タウンで撮影しようと決めていた。ケンゴ役のために何本も何本もオーディションテープを見た後で、僕らのキャスティング・ディレクターのモニカ・ミケルセンのオフィスでニューヨークの舞台俳優の写真を見たんだ。それがジェイソン・リュウだった。ソーニャ・キンスキーは僕の友人で、最初からケンゴの恋人役に決めていたよ」。ケンゴ役を決めるのはかなり難航した作業だったようだ。そんなケンゴ役に決まったジェイソン・リュウは「原作の著者である村上春樹はこんなふうに言ってる。『私の作品には答えはない。あるのは優しさだけだ』と。またこうも言ってる。『私の登場人物たちはあまりに受け身すぎるという者もいるが、彼らは別の強さを持っているだけだ』。僕は村上春樹のそういう所が大好きなんだ。そうした考え方が脚本に反映されている。ロバート監督は素晴らしい方法で、そうした感性を脚本に組み込んでいるよ」と、監督の手腕を絶賛した。

一般試写会でも美しい映像が印象に残ったという声も大きい。その映像について、ロバート監督は「村上春樹の美しい文章をそのまま映画にするのは恐らく不可能だ。だからこれは、もっと個人的な、そうだね、言い換えるならば、僕自身の心の旅を描く映画を作るチャンスだったんだよ。それから僕自身の自己発見への道は心の奥底に内在していたため、より客観的に感じるためにも、距離感のあるカメラスタイルがこの物語にはふさわしいと思った。そしてラストに向かって次第に映像や物語がよりシュールになっていく。それに、ケンゴが真実に近づくにしたがって、少しだけあたたかい色調になって行くんだ」と、撮影における自身の秘話を語ってくれた。

監督の友人であり、最初からサンドラ役に決まっていたソーニャ・キンスキーは、あの名女優のナターシャ・キンスキーを母に持ち、本作では惜しげもなくヌードを披露している。そんなソーニャはサンドラをどんな女性だと感じているのだろうか。「サンドラはケンゴにぞっこんなのよ。でも彼女は彼の母親とライバル関係にあると感じている。ケンゴの人生を占めているもう1人の女性だもの。恋愛関係ではよくあることよ。それにケンゴの母親は、彼がどうやって生まれたのか真実を拒絶している。彼女はある男性と出逢い、彼にその宗教を紹介され、そして信じてるの。というか信じたいの。ケンゴは神の子だって。サンドラは、それを奇妙に感じてはいるけれど、ケンゴとはとても長い間、つき合っているし、彼を好きでたまらないのよ」。ソーニャは撮影中、肉体も精神もすっかりサンドラになりきっていたという。それゆえ、ヌードになることも全く抵抗がなかったとか。さすがは大女優の娘である。

最後にロバート監督のメッセージをお届けしよう。「この映画を世界各国の映画祭に出品したが、この映画の欠点も含め大好きになってくれる人と、逆に大嫌いだという人と、感想が真っ二つに分かれている気がする。中間の意見はほとんどないようだった。僕はそれで良いと思ってるんだ。少なくとも観客の評価は“まあまあ”ではないんだからね」。

原作を読んだ人もそうでない人も、また村上春樹ファンの人もそうでない人も、『神の子どもたちはみな踊る』という映像作品の世界観をそれぞれの解釈で楽しんでもらいたい。【MovieWalker】

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