“ゴジラ対ガメラ”が実現!?金子修介&手塚昌明のトークに怪獣映画ファンが大熱狂!
自主映画作家としての顔を持つ落語家の林家しん平が、4年半の歳月をかけて作り出した『深海獣雷牙 対 溶岩獣王牙』の先行上映イベントが7日、東京の神楽座にて開催。林家監督が手掛けた自主映画『駕瞑羅4 真実』(03)と最新作の上映が行われたのち、「平成ガメラ」シリーズで知られる金子修介監督と2000年代に「ゴジラ」シリーズを3作品手掛けた手塚昌明監督をゲストに招いたトークショーが行われ、会場に詰め掛けた大勢の怪獣映画ファンを熱狂させた。
『深海獣レイゴー』(08)、『深海獣雷牙』(09)に続く「深海獣」シリーズの第3弾となる本作の舞台は熱海。前作で浅草を襲った雷牙との対決によって街を破壊してしまった司令官の鬼頭(稲宮誠)は、熱海に左遷されていた。そんな折、熱海駅を通過した新幹線が地底怪獣に襲われ、同じ頃に熱海港に雷牙が出現。鬼頭は浅草での雪辱を晴らすため、熾烈な三つ巴に挑むことを決意するのだが…。
上映終了後に観客の前に真っ先に姿を見せた林家監督は「ほとんど1人で作ったんです!後半の怪獣部分も全部1人です!」と渾身の作品であることを猛アピール。そして「怪獣映画はこれが最後だと思うんですが、なんと『深海獣』3作品が北米の方で売れまして、北米でもDVDとかネット配信とかされることと思います」と発表し、会場からは大きな拍手が巻き起こる。さらに「第4弾はあるぞ!」と堂々と宣言した。
その後、林家監督の念願叶って実現した“事実上のゴジラvsガメラ”とも言えるトークショーでは、金子監督から「完成おめでとうございます。怪獣愛を感じて、自分もまた怪獣を撮りたいという気持ちになりました」とねぎらいの言葉をかけられるだけでなく、クライマックスの展開について「オチに向かって、なぜ戦うのかというサスペンスがあると、もっとおもしろかったと思います」とのアドバイスも。また、手塚監督からも「しん平監督はこれが最後だって言ってましたけど、最後に自分で予告を付けたんですから責任とってもらわないと困りますよ」と期待を込めた言葉がかけられた。
「ゴジラ型の怪獣と四つん這いの怪獣を戦わせるのが夢だった」と語る林家監督は「怪獣映画ファンとして、お2人に来てもらうのも夢で、自分の作った拙い作品を観ていただいて言葉をもらえたら、それが糧になります」と2人への熱烈な敬意をあらわに。そして4年半の制作期間で2度の大病を患いながらも制作をあきらめることなく、自腹を切ったことや合成ソフトをマスターするのに1年半かけたことなど数多の苦労エピソードを明かしていく林家監督。
そんななか、金子監督からは「浅草と熱海ってのがいいよね」と、前作と本作のロケーションについて賛辞が送られる。これまで『キングコング対ゴジラ』(62)や『大巨獣ガッパ』(67)などで怪獣映画の舞台になってきた熱海というロケーションを選んだ理由について、林家監督は「こじんまりしていてロケーションもいいんです。それに、そっと撮ってても怒られないんです(笑)」とユーモラスに明かすと、怪獣に花火を打ち込む撮影をこっそりやったことなど、トークショーの場でしか明かせない爆笑エピソードを披露。
さらに「『ガメラ』も最初は浅草でやろうという話だったけど、瓦が落ちるのが無理じゃないかという話になった」と明かす金子監督に「日本家屋は郷愁がありますからね。舞った時の木だとか破片が最高ですよね!」と意気投合する林家監督。ほかにも3人は劇中で使った効果音の話やオマージュの数々、キャストやミニチュアへのへのこだわりなど様々な裏話で大盛り上がり。
そして、終始自虐的な発言で笑いを誘っていた林家監督に対して手塚監督は「どんな作品でも志が大事だと思うんですが、この作品からは志が充分に感じられました」と語り「本人も反省しているようなので、それをディレクターズカット版に!」。すると林家監督は「25分の短縮版にします!」とまさかの大幅短縮を宣言。この日一番の大爆笑が会場を包み込んだ。
取材・文/久保田 和馬