『君を想って海をゆく』で恋人を演じるふたりは実の姉弟!
2009年、フランスで公開5週目に動員100万人を突破した『君を想って海をゆく』が、いよいよ12月18日(土)より全国順次公開となる。
クルド人難民とフランス人との触れ合いを描いた本作は、ドキュメンタリーの体を取らずに、難民の現状を浮き彫りにしたフィリップ・リオレ監督の話題作だ。人種や年齢を越えて芽生えた絆や、登場人物それぞれが愛する者と真摯に対峙する姿に光を当て、本作を感動の人間ドラマへと昇華させた。フランスの社会問題を背景に、人間愛に焦点を当てた本作だが、クルド人難民を演じる期待の新人俳優にも注目が集まっている。
フィリップ・リオレ監督は今回の主人公・ビラルのキャスティングに際し、ベルリンからロンドン、イスタンブール、フランスと各国の大規模なクルド人コミュニティを回ってオーディションを行ったという。「干草の中に1本の針を探すような難題でした」という監督のコメントからも、キャスティングにかけた苦労がうかがえる。
そんな中、ビラル役に大抜擢されたフィラ・エヴェルディは、監督にその才能を見出されただけでなく、彼の瑞々しい演技はセザール賞新人男優賞にノミネートされるまでに至った。また、ビラルの恋人・ミナを演じたデリヤ・エヴェルディも今回の撮影で非凡な才能を発揮し、今では女優の道を歩もうとしている。様々な困難にはばまれながらも一途に互いを想い合う恋人どうしを見事に演じきったふたりだが、実は姉弟なのである。さらに、演技力の評価もさることながら、その美しい容姿も話題になっている。クルド人のコミュニティで生活をし、演技経験がほとんどなかったふたりにとって、本作への出演が人生の転機となったことは言うまでもないだろう。
今後の活躍が大いに期待される姉弟にとってのデビュー作であり、初の共演作品ともなった『君を想って海をゆく』。2010年を締めくくる1本として、是非とも見逃さないでほしい。【Movie Walker】