長澤まさみ、東出昌大、小日向文世が『コンフィデンスマンJP』でのロマンスを語る
昨年4月~6月に放送されたフジテレビ系月9ドラマの劇場版『コンフィデンスマンJP』が5月17日より公開中だ。本作で、欲望にまみれた腹黒い人間から大金を騙し取る3人組の信用詐欺師“コンフィデンスマン”を演じた長澤まさみ、東出昌大、小日向文世を直撃。劇中同様の愉快な掛け合いを見せる3人に、撮影秘話を語ってもらった。
脚本を手掛けたのは映画「ALWAYS 三丁目の夕日」シリーズやドラマ「リーガルハイ」などで知られる古沢良太で、ドラマ版は日中韓の3か国で同時製作されることが発表されており、話題を呼んでいた。
長澤は頭脳明晰だが、ハニートラップではよく失敗する主人公の“ダー子”を、東出は純朴で小心者の“ボクちゃん”を、小日向は超一流の変装技術を持つベテラン“リチャード”を演じた。今回のダー子たちは、伝説のパープルダイヤをねらい、香港へ飛ぶ。また今回は“ロマンス編”というサブタイトルが付けられており、ダー子やボクちゃんが、溢れる想いをぶつけ合うシーンもある。
「今回は恋愛物語だと思って演じました」(長澤)
――映画は“ロマンス編”ということで、連ドラとは違うダー子の一面を見ることができました。
長澤「そうなんです。ダー子の恋模様が描かれますが、いろいろな名作映画のパロディが入っていたりします。『コンフィデンスマンJP』は、連ドラでもどれだけ大真面目に演じられるかがキモだったので、今回は恋愛物語だと思って演じました」
東出「僕も同じです。一度、ドラマの撮影前半で、偶数回を演出されていた金井紘監督と“ボクちゃん論”について話した時、『ボクちゃんはたぶん、女性経験が全然ないだろう』と言っていたことを久しぶりに思いだしました。まあ、年齢が年齢なので、まったくないとは言い難いかもしれないけれど、ずっと恋愛はしてこなかったんじゃないかなと。だから、恋愛感情を真面目に吐露することに慣れてないし、本当に苦手なんだなと思いました(苦笑)」
――映画が、ダー子と三浦春馬さん演じるジェシーとの甘いラブシーンから始まるので、ドキッとしました。
長澤「あれは、甘〜く演じてますよね(笑)」
小日向「僕も、あのシーンを初めてスクリーンで観た時、ドキドキしました。キスシーンもあるんじゃないかと思ったりして」
東出「まさに見たことのないダー子の一面ですよね。東出としても、ボクちゃんとしても、序盤から見ちゃいけないものを見ている感じでした。また、ジェシーのキラキラした魅力には見事に負けました。三浦春馬、恐るべし!」
小日向「いや、脚本が負けるように書いてあるから」
東出「いやいや、違う。あのオーラには負けます!」
長澤「ジェシーとのシーンは、私も演じていてすごくかゆかったのですが、スタッフさんは、とても楽しまれていました(笑)」
「3人でいると、僕が一番年下みたいな気になってきます」(小日向)
――香港ロケでの印象に残っているエピソードを教えてください。
長澤「撮影が終わったあとにみんなで飲んだのが楽しかったです」
小日向「長澤さん、東出くん、それに五十嵐役の小手伸也さんと4人でね。俺の部屋で飲んだんだっけ」
長澤「違います!東出くんの部屋です (笑) 。東出くんがお酒を用意してくれて、みんなで飲んだんですよ。ビールやウイスキーも用意してくれていたんです」
――東出さんは、いつもそういう役回りなのですか?
小日向「そうなんです。東出くん、そういうところはぬかりがない」
長澤「そう言うと聞こえが悪いでしょ(笑) 。東出くんは優しくて面倒見がいいんです。だから、私と小日向さんは、東出くんをお兄ちゃんみたいに思っています」
小日向「そうそう。3人でいると、僕が一番年下みたいな気になってくるんです。2人ともすごくしっかりしているので」
「本当に一番怖いのは小日向さんかもしれないです」(東出)
――周りから見ていると、お三方の仲の良さが伝わってきます。
長澤「この間、別の取材で記者さんからも『皆さんが小日向さんの笑いを待っているという感じで、可愛らしい構図ですね』と言われたので『いえ、逆です』と言っておきました(笑)。私と東出くんは、小日向さんがなにか余計なことをしゃべるんじゃないかと思って、いつもヒヤヒヤしています」
東出「アハハハ」
小日向「もう~。じいちゃん扱いしてるでしょ」
長澤「いやいや、おじいちゃんとは思ってないですよ(笑)」
小日向「まあ、30歳以上、年が離れているけど、撮影もこういう雰囲気で続けられたので、本当に良かったと感謝しています。僕はたまたま役者で、こうやって仕事をいただけているけど、社会に出てサラリーマンをやっていたら本当にひどい社員だと思う。魂がガキなんだよね」
長澤「私だって、魂はガキですよ?」
小日向「どうせ僕は、どこの現場に行っても笑われるんですよ…」
東出「いや、僕はふと、そういう態度も全部、小日向さんの芝居なのかなと思う時があるんです」
――それは、どういう時に思うのですか?
東出「ビシッと決めるところは決めていらっしゃるので。実際にすごい大先輩で、(NHK大河ドラマ『真田丸」で)秀吉役をやったかと思えば『アウトレイジ』にも出演する、という振り幅もすごいですし。本当に一番怖いのは小日向さんで、なんだか騙されているんじゃないかと思ったりします」。
長澤「今回、小日向さんの香港ロケは2日間しかなかったのですが、そこでもバッチリ決めていました。そういうところが本当にすごいなと思います。海外ロケは、日本と違って時間との戦いがあるので」。
小日向「そんなことないよ(笑)」
東出「僕は長澤さんからも座長としての責任感や熱意をすごく感じました。現場はそういう雰囲気に引っ張られるから、多国籍のチームで、少ない日数の撮影なのに、現場がスムーズに行ったのは長澤さんのおかげです」。
インタビューでは、劇中のトリオ同様に、息の合ったトークを弾ませた3人。互いに愛のあるツッコミを入れ合うやりとりが微笑ましい。この信頼し合っているチームだからこそ、古沢良太脚本の魅力を最大限に引きだせたのは間違いないだろう。フジテレビ開局60周年特別企画のスペシャルドラマ「コンフィデンスマンJP 運勢編」も、本日18日の21時から放送されるので、映画と合わせてチェックしてほしい。
取材・文/山崎 伸子