堀未央奈と山戸結希監督の強固な絆。運命の出会いで生まれた“魂的な双子感”|最新の映画ニュースならMOVIE WALKER PRESS
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インタビュー 2019/6/30 14:30

堀未央奈と山戸結希監督の強固な絆。運命の出会いで生まれた“魂的な双子感”

山戸監督は「柔らかいなかに強く揺るがない芯がある」と堀を起用した理由を告白
山戸監督は「柔らかいなかに強く揺るがない芯がある」と堀を起用した理由を告白撮影/黒羽政士

「運命の出会いだと思いました」。2年連続で日本レコード大賞を受賞し、いまや国民的アイドルグループとして絶大な人気を誇る乃木坂46のメンバーである堀未央奈は、“若き天才”と評される山戸結希監督と1本の映画を通して築き上げた関係を、そう形容した。2人がタッグを組んだのは、堀にとって映画初出演にして初主演作の『ホットギミック ガールミーツボーイ』(6月28日公開)。“少し大人な少女漫画”の先駆者と言われる相原実貴の伝説的コミック「ホットギミック」を実写映画化した作品だ。

「一緒にこの作品で戦いたい、いろんな女の子を救えるような、胸にずっと刻まれるような映画を一緒に作りたいなって」(堀)

本作は自分に自信が持てない女子高生、成田初が3人の男性との初恋に揺れ動きながら、少しずつ自分のなかに芽生える想いを見出していく物語。「ポップで可愛くて少女漫画のキラキラ感がある絵だけど、ストーリーは決して王道ではない。こういうタイプの少女漫画を読むのは初めてだった」と、堀は原作を読んだ時に抱いた感想を語る。「実写化というと、原作のセリフやシーンをそのまま持ってきたりすることが多いかもしれないですけど、この映画は違う。原作の世界観を活かしながら、監督が私たちキャストに寄り添って、精一杯書き足してくださったいろんな言葉がある。だから、同じだけどまた一つ違った『ホットギミック』ができたのだと思います」と、本作がこれまでの“キラキラ映画”とは一線を画した仕上がりになっていることを教えてくれた。

【写真を見る】乃木坂46の堀未央奈が、初主演映画に込めた強い想いとは?
【写真を見る】乃木坂46の堀未央奈が、初主演映画に込めた強い想いとは?撮影/黒羽政士

「撮影の前に山戸監督と2人で話す機会があって、『女の子ってこういう気持ちがあるよね』と話をしました。そこで、一緒にこの作品で戦いたい、いろんな女の子を救えるような、胸にずっと刻まれるような映画を一緒に作りたいなって強く思ったんです」と本作に臨んだという堀は、「現場はすごく安心感がありましたが、山戸監督に任せっぱなしは悔しい。私も一緒に戦って、自分自身を強くしたい。そう思ってどんどん挑戦していきました」と明かす。その“共闘”の末、堀と山戸監督の間には信頼関係を超えたさらに強固な絆が芽生えたようで、「言葉にしなくても伝え合える部分があるんだと思います。表面的なものではなく、感じていることや言いたいこと、誰にもどうしようもできないところがすごく近い、“魂的な双子感”があって。出会えて良かったなと強く思いました」と、2人はお互いの顔を見つめながら微笑み合った。

堀と山戸監督がタッグを組むのは、これが初めてではない。2016年にリリースされた乃木坂46の14枚目のシングル曲「ハルジオンが咲く頃」のミュージックビデオを山戸監督が手掛け、堀はその楽曲の選抜メンバーとして参加。「その時は言葉での交流はなかったのですが、堀さんの姿勢から伝わってくる真摯さを感じて、その存在が胸に刺さってずっと残っていました」と、山戸監督は堀の第一印象を振り返る。そして「すごく柔らかいなかに強く揺るがない芯があって、初という役に合うのではないかと思いました」と本作に配役した決め手を明かすと「アイドルとしてすごく努力された時間があった分、大切にとってあったリアルな10代の時間をこの映画に注いでもらった。だからリアルタイム以上に真実性を持って演じられたのだと感じました。これまでの堀さんの時間が良い選択になって、初という役に運命的に出会って結集して、輝いたのだと信じています」と強い自信をのぞかせた。

堀未央奈は「出会えてよかったなと強く思いました」と山戸監督への想いを明かした
堀未央奈は「出会えてよかったなと強く思いました」と山戸監督への想いを明かした撮影/黒羽政士

山戸監督と言えば2012年に発表した『あの娘が海辺で踊ってる』で大きな注目を集め、2016年に『溺れるナイフ』でメジャー映画デビューを飾る。『21世紀の女の子』(18)の企画・プロデュースを務めるなど、その映像センスと確かな演出力で日本映画界に新風を巻き起こし続ける逸材だ。リアルタイムで原作コミックを知っていたという山戸監督は、原作について「現在隆盛しているラブロマンスのひとつの話型の源流」だと語る。「少女向けの漫画において、なにが欲望されるのかという物語を、非常に初期に生みだした作品ではないかと思います。“欲望”というのは卑しいことではなく他者に出会う萌芽でもあり、自己実現するチャンスにも、女の子が真になにを希うのかという問いにも繋がってゆく」。そして自ら全12巻にわたる原作のストーリーをぎゅっと凝縮し、脚本を作りだす。「映画自体が生きているような作品にすること。それが最優先の課題でした」。

「社会的なその性別“らしさ”と対になるものを入れることで、規範からより逃れる〈中性〉としての、性別以前の人間としての美しさにつながるんじゃないか」(山戸)

これまで常に女性を主人公にした物語を描き続けてきた山戸監督。本作も例外なく10代の少女の物語である一方で、これまでのどの作品よりも複雑かつ繊細に、男性キャラクターの心の機微も描写されている。「基本的に自分の作品では、性別は関係なく、美しく撮りたいという意識を持っていますね」と明かす山戸監督。「女性は儚いものとして、男性は力強いものとして撮られやすいけれど、それは“らしさ”というジェンダーロールに過ぎない。ならばそれが逆転するような形で、堀さんが初を演じることで儚い女の子だけど芯が力強くなるように、そして初と訴求し合う男性陣は、繊細に淡く方向付けてゆく。社会的なその性別“らしさ”と対になるものを入れることで、規範からより逃れる〈中性〉としての、性別以前の人間としての美しさにつながるんじゃないかという期待がありました」と語る。

相原実貴のコミックを原作に、3つの初恋に揺れる少女を描いた『ホットギミック ガールミーツボーイ』
相原実貴のコミックを原作に、3つの初恋に揺れる少女を描いた『ホットギミック ガールミーツボーイ』[c]相原実貴・小学館/2019「ホットギミック」製作委員会

また、ほかのシーンでも“対になる”ことを意識した演出が施されているそうで、それは物語の終盤で間宮祥太朗演じる兄、凌の部屋を初が訪れ、床にこぼしたココアの上に凌が寝転がるシーンだ。「それまで淡い色のシーンが続いていたので、ココアの濃い色を入れることは、映画に緊張感を生むだろうと思いました」と、そのねらいを明かす山戸監督。堀もそのシーンについては「普通だったら『ココアまみれで大丈夫かな』って思っちゃうんですが、初は凌しか見ていなくて、凌も初を見ている。2人のなかに2人だけの世界があって、その雰囲気は2人だからこそ出せるもの。すごくいいなと思いながら演技していました」と、登場人物の関係性を示すうえで重要なシーンになっていることを教えてくれた。

最後に堀に、鮮烈な女優デビューを飾った本作を乃木坂46のファンにどのように見てもらいたいか訊いてみた。すると「映画のなかでの自分は堀未央奈自身であって、成田初自身でもあるから、アイドルや女優や漫画の主人公といった一つの見方ではなく、一人の女の子として見てもらいたい」と力強く語る。「男性には、こういう女の子もいるかもしれないとか、こういう思いがあるのかもしれないと。そして女性には、アイドルの時よりも私をより近い存在に見てもらえると思います。一緒にいろんなことを感じ、共感してもらいながら、この映画を観てもらいたいと思っています」。

取材・文/久保田 和馬

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