「複雑で気持ち的にすごく大変な時期だった…」クリエイター兄弟が「ストレンジャー・シングス」に込めた幼少期の経験とは?
配信が開始されるやいなや、世界中で一大ムーブメントを巻き起こしているNetflixオリジナルドラマ「ストレンジャー・シングス 未知の世界3」。この大ヒット作を生み出したクリエイターのマットとロスの“ザ・ダファー・ブラザーズ”にインタビューを敢行、作品に込めた自分の経験や、彼らから見たフィン・ヴォルフハルト(マイク役)、ミリー・ボビー・ブラウン(イレブン役)、ノア・シュナップ(ウィル役)、ゲイテン・マテラッツォ(ダスティン役)、ケイレブ・マクラフリン(ルーカス役)、セイディ・シンク(マックス役)ら子役たちについても大いに語ってくれた。
「子どものころの気持ち的に大変な時期を、より掘り下げたいと思ったんです」(マット)
――ウィル、マイク、イレブン、ダスティン、ルーカス、マックスらは、シーズン3で“大人”に向けて成長し、それぞれの関係にも変化が訪れているように思います。これらはご自身が少年だったころの経験が反映されていますか?
マット「かなり反映させています。もちろん僕たちもなのですが、このシリーズにはあと4人脚本家がいるので、みんなの体験から作っているところがありますね(笑)。全員が子どものころに体験したトラウマなどを話し合う、セラピーみたいな機会があったんですよ。特に僕とロスはミドルスクールからハイスクールに移行する時期が大変だった記憶があります。ミドルスクールまでの友人がいて、ハイスクールに入って新しいグループの友人ができ、仲が良かったはずの友だちがそれぞれ違ったグループに入ったり、違うものに興味を持って別の道を歩き始めたりする。僕たちの場合も、今までみんなゲームで盛り上がっていたけど、一部の友だちは他のものや女子に関心を持ち始めて…そうなるととても複雑で、気持ち的にすごく大変な時期になってくる。だからそういう部分をテーマとしてシーズン3ではより掘り下げたいと思ったんです」
――子どもたちを演じる俳優たちは作品外でも仲が良く、それがシリーズの人気にも影響を与えているように思います。
ロス「とにかく皆すごい才能の持ち主だったから、本当に彼らをキャスティングできて僕らもラッキーでした。シーズン1の第1話で『ダンジョンズ&ドラゴンズ』をプレイしているシーンが、彼らとの初めての撮影でしたが、その時に彼らがいかにウマが合って、ケミストリーがあるのかがすぐにわかりました。素晴らしいのは、これだけの成功を経験しているなかで、友情がより強いものになっていることです。それは共演者として現場で何か月も一緒に過ごすだけではなく、成功というものにその後どのように向き合うのか、ということも一緒に体験したから、彼らはより仲良くなったのではないかなと思います。その強い友情が、ケミストリーとして観ている方に伝わればうれしいです」
――彼らが持つ魅力について教えてください。
マット「まず、人間としてだけではなくアーティストとしても、彼らが成長していく様子を見ることができる、というのが僕らとしては特権だと思うんですよね。何年も彼らが役者としての技術を磨いていくのを見守っていけるのはクールだと思うし、キッズたちはそれぞれにすごくユニークで特別なものを持っています。映画と違ってテレビの良いところというのは、毎年“ファミリー”の所に戻って来られること。その結果、僕らの間にすごくユニークな絆が生まれたと思うし、それが本当に素晴らしいと思っているんです。シーズン2から新しく加わったセイディだったり、今回シーズン3から、より登場が増えたプリア・ファーガソン(エリカ役)も、このアンサンブルに実に見事にハマってくれて、本当にこのキッズたちに出会えたことがラッキーだったと思います」
「スティーブたち、年上組の大人への成長を描くことは、僕らにとってすごく重要でした」(ロス)
――スティーブ(ジョー・キーリー)、ナンシー(ナタリア・ダイアー)、ジョナサン(チャーリー・ヒートン)、ビリー(デイカー・モンゴメリー)ら、ティーンたちの成長がシーズン3の鍵を握っていると思うのですが、ティーンから大人になるにあたり、お2人が大切だと考える要素とは何ですか?
ロス「メインのキッズたちとは年上の彼らの成長というのは、少しテイストが違いますよね。大学へ行く前の最後の夏で、アルバイトや仕事をしているけど、そこでぶつかる現実というのは、それまで知らなかったものなんだ。例えば、スティーブはそれまで王様気分だったけど、今はアイスクリーム屋で仕事をしているわけで、ハイスクールというのが人生すべてではない、どんなにイケていても、社会に出ると全然違うんだということに触れています。そこでポイントとなるのが、“変化にどう向き合うのか”というところで、そこを掘り下げたいと考えました。ナンシーとジョナサンもまた、それぞれ違った観点から変化というものと向き合っていて、ナンシーは職場のなかで自分の居場所を見つけようとする。ジョナサンのほうはナンシーに比べると、低所得者世帯なので、いかに家計を支えられるかしか考えておらず、そこにストレスを感じてもいる。高校を卒業して、突然大人の社会に直面することになった彼らは、宿題の心配はないけど、より現実の社会と向き合わなければならなくなる。メインの子どもたちの世代の成長に目が行きがちなのだけれども、もうちょっと年上の彼らの成長を描くことは、僕らにとってすごく重要でした」
――世界のユーザーたちに楽しんでもらうため、本シーズンで新たに挑戦したことがあれば教えてください。
ロス「まず、やっぱりみんなが愛しているキャラクターたちをしっかりと届けたいという気持ちと、いままでにはなかったサプライズも加えたいというのが、挑戦したことの1つでした。これはいつもすごく難しいところなんだけど、いろんなストーリーが同時に進行しているので、それをどうやって1つの物語に編み込んでいくのか、というのが毎回のチャレンジでもあります。今年、いままでできなかったあることをすることができました。それは、すべての物語のクライマックスを同時に進行させていくということです。結果的に、誰にとっても本当に息を呑むようなフィナーレになったと思っています」
マット「最後のエピソードは特に、本当に超大作映画を観ているようなスケールを感じさせるものにしたかったんです。それをもちろんテレビの制作スケジュールでやるというのは、ものすごく大きな挑戦だった。Netflixの支えと信頼できるアーティストたち、みんなの力を得て、何とかゴールを迎えることができました。なので、いままでで作るがの一番大変だったシーズンではあるのですが、同時にすごく楽しかったし、出来には本当に満足しています」
文/トライワークス