第68回ゴールデングローブ賞、司会者の過ぎたジョークで候補者までもバッサリ!

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第68回ゴールデングローブ賞、司会者の過ぎたジョークで候補者までもバッサリ!

現地1月16日、ハリウッドで第68回ゴールデングローブ賞の授賞式が開催された。昨年に引き続き、イギリス人コメディアンのリッキー・ジャーヴェイスが司会を務めたが、今年のジョークは当事者からするとシャレにならない辛らつなネタが多かったようで、インパクトは絶大だったものの、会場からはちょっとしたブーイングが起きたり、出席者の引きつり笑いを誘った。

まずリッキーは、チャーリー・シーンが起こしたポルノ女優との一連の騒ぎをギャグにした後、3D映画時代の到来を歓迎し、続編アニメ大作『トイ・ストーリー3』などを称えるコメントをして軌道修正を行った。

しかし、その後はまさに絶好調。今年は作品賞に続編大作が入っていないことに触れ、『セックス・アンド・ザ・シティ2』(10)のような駄作がノミネートされていないことを歓迎した。また、「同作のポスターがすごい大幅修正されているよね。彼女たちの年齢を考えれば当然だよね。実際に会ったことあるから知ってるけど」と、過去の栄光にすがった映画作りにもの申した。ベテラン女優たちにとっては面白くない話だが、幸い女性キャストは誰も会場にはおらず、テレビ部門でノミネートされていたMr.ビッグことクリス・ノースの笑いを誘うことには成功したが、同賞のコメディ・ミュージカル部門の作品賞、主演男優賞及び主演女優賞にノミネートされているジョニー・デップとアンジェリーナ・ジョリー主演の『ツーリスト』(3月5日公開)に加えられた辛らつな一撃は、会場に居合わせたふたりには、しゃれにならない厳しい一打となったに違いない。

と言うのも、もともと同作は“二大スターの共演”が騒がれたわりに、作品が酷評されていたうえに興行成績も伸び悩んだため、作品とふたりが同賞にノミネートされたことが大きなサプライズとなっていた。また、スリラー作品にもかかわらず、コメディ・ミュージカル部門にノミネートされたことも疑問視されており、「選考者のハリウッド外人記者クラブのメンバーが、ふたりのファンだったのだろう」と嫌味を言われる始末。そのため『アリス・イン・ワンダーランド』(10)とダブルノミネートされたジョニーは良いとしても、「笑いものになることを恐れたアンジェリーナが、同賞に出席しないのではないか」とまで噂されていた。

その噂で笑いを取ろうとしたリッキーは、「見てないから良い作品かどうか知らないんだけど、記者クラブのメンバーがふたりに会いたいばっかりにふたりを選んだっていう馬鹿げた噂があるんだけど、くだらない話だね。それだけじゃなくて、賄賂を受け取ったらしいよ」とコメント。アンジェリーナはスクリーンには映らなかったが、ガムをかみながらジョニーは引きつり笑いをするしかなかったようだ。

そして、リッキーのジョークはさらにエスカレート。全くノミネートには関係のない、内容の過激さから公開が何度も先延ばしされた全米公開中の『フィリップ、きみを愛してる』(10)に触れ、「ジム・キャリーもユアン・マクレガーもストレート(異性愛者)なのに、ゲイを演じてるけど、サイエントロジストの彼らは、まるっきり逆だよね」と発言。二コール・キッドマンと結婚しても、ケイティ・ホームズと結婚して1児を授かっても、未だにゲイ説が消えないトム・クルーズと、3人目の子供が誕生したばかりのジョン・トラボルタを示唆しているようだが、さすがに行き過ぎたジョークに会場からざわめきが起こると、リッキーは「弁護士にもちゃんと(言って良いかどうか)相談したんだけど」とかわした。

その後も、プレゼンターだったブルース・ウィリスを「アシュトン・カッチャーの父親」と紹介したり、同じくプレゼンターだったロバート・ダウニー・Jr.を紹介する際に、出演作を紹介した後で「それより彼は、ロスの刑務所とクリニックにいたことの方が、みんなに知られているね」とコメントするなど、辛らつジョークは続いたが、やはりイントロのジョークが極めつけだった。

会場は一応(?)和やかなムードに包まれていたものの、2年連続で司会を務めたリッキーにどんな審判が下るのかによって、来年の演出ががらりと変わる可能性があり、今から楽しみだ。【NY在住/JUNKO】

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