ジョン・ファヴロー監督、『ライオン・キング』で編みだした独自の撮影方法を語る

インタビュー

ジョン・ファヴロー監督、『ライオン・キング』で編みだした独自の撮影方法を語る

「出発点を忘れたくないんだ。だから『ザ・シェフ・ショー』は自分で制作費を出して、料理も作るし、撮影もしている」

ちなみに、ファヴロー監督は、日本のアニメーションや映画を観たりするのだろうか。「僕は昔の作品をよく観ているけど、最近の作品は息子や娘に教えてもらっている。僕は『アップルシード』がすごく好きだったけど、『鋼の錬金術師』は息子から教えてもらい、2人でハマって観たよ。僕は80年代育ちだが、日本の文化で言えば、アニメーションよりも、怪獣ものや黒澤明監督の映画をよく観ていた。『スター・ウォーズ』では、ジョージ・ルーカス監督がよく黒澤監督の話をするから、そこから黒澤映画を観るようになり、いまでは子どもたちにも、そういった作品を観せている。もちろん、日本のアニメーションや漫画からもすごくインスピレーションを得ている。『AKIRA』や『攻殻機動隊』シリーズなどもすごく好きだし、1作目の『アイアンマン』は、かなり日本の作品にインスパイアされた作品だ」。

また、『ライオン・キング』のような超大作を監督する一方で、Netflix配信の料理番組「ザ・シェフ・ショー 〜だから料理は楽しい!〜」では自らが料理を手掛けているという多彩なファヴロー監督。「僕の家族は、僕がやりたいことをやっていいよと言ってくれているよ。それらは、自分が情熱を注げる企画ばかりだが、必ずしもキャリア的にベストな選択ではない時もあると思う。例えば、ある成功を手にすると、それまでやってきた好きなことをもうやらなくなったり、忘れてしまう人も多い。でも、僕は自分の出発点を忘れたくないんだ。だから『ザ・シェフ・ショー』は自分で制作費を出して、料理も作るし、撮影もしている」。

とてもフレンドリーなジョン・ファヴロー監督
とてもフレンドリーなジョン・ファヴロー監督

そのうえで、ファヴロー監督が大事にしているのは、「常に新しいパズルにトライすること」だという。「『ライオン・キング』のような超大作は、全部自分が出資することなんてできないから、また違った責任が伴ってくる。もちろん、いつどんなタイミングで、どういう作品を作るのかは考えなきゃいけないけど、やはり新しいことにチャレンジしたい。『アイアンマン』や『ジャングル・ブック』もそうだった。いまはテクノロジーも進化し、ストリーミングサービスの環境もあるから、どんなふうに作品を作れるのか?という、パズルを考えることが僕は好きなんだ」。

そのように試行錯誤してできあがった渾身のパズルである『ライオン・キング』は、世界から熱い視線を浴びている。まさに“体感”すべき作品なので、ぜひ大きなスクリーンで観賞してほしい。

取材・文/山崎 伸子

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