菅田将暉&仲野太賀が“驚異の新人”YOSHIを絶賛!「3人のグループ感が奇跡的」
『セトウツミ』(16)や『日日是好日』(18)の大森立嗣監督が、90年代に自身のデビュー作として執筆したオリジナル脚本をもとに、社会のシステムからはみだした3人の少年たちの純粋で過激な生き様を描いた『タロウのバカ』(公開中)。本作の公開記念舞台挨拶が8日にテアトル新宿にて開催され、タロウ役のYOSHIとエージ役の菅田将暉、スギオ役の仲野太賀、共演の豊田エリーと植田紗々、そして大森監督が登壇した。
「名前がない奴はタロウだ」という理由でタロウと呼ばれている少年は、戸籍すらなく一度も学校に通ったことがない。そんな彼は仲間の高校生、エージとスギオと3人で奔放な日々に自由を感じながら過ごしていた。そんなある時、彼らは偶然にも一丁の拳銃を手に入れる。それをきっかけに目を背けていた過酷な現実に向き合うこととなり、タロウの内に未知なる感情が芽生え始めることに…。
本作で演技初挑戦となる16歳の新星、YOSHIは「これだけの人に囲まれて幸せです」と飾らないキャラクターで喜びを語る。そして、SNSなどのネット上で新人らしからぬ存在感が話題沸騰となっていることについて「ネットで毎日見ていますけど、賛否両論がすごい。『こいつは生意気だ』とか『こいつはタメ語だ』とか書かれていて、すいませんって感じです。でも狙い通りです」と自信たっぷりに微笑んでみせた。
そして「撮影で大変だったところは?」と訊かれたYOSHIは「最後の泣くシーンです」と即答。「プライベートでは泣くことが一番ダサいと思っている自分がいて、でもタロウになった時にはいろんなことが起きるので、『ここで泣かなきゃいけないんだ俺は!』って決心するのが大変でした」と語る。すると大森監督は「スムーズだったよ」とYOSHIの演技に賛辞を送り「あの時はなぜか将暉が泣いていた(笑)」と明かす。すると菅田は「この子(監督が着ていたTシャツを指差して)が一生懸命泣こうとしてるんだよ」と、撮影時のYOSHIの奮闘ぶりをしみじみと振り返りながら、その努力を称えた。
一方で菅田は、これまでに演じたことのないタイプの役柄に挑むにあたり、「大事にしたのは3人の時間です」と明かす。「一瞬の、本当の青春というか、カメラの前で心の底から笑うことなんてまずない。なのでそれができたことが、この映画の個人的にアツいところです」と熱弁し、仲野からも「将暉との関係性の中にYOSHIという偉大な新人が登場して、3人のグループ感が奇跡的だったと思います」と3人の絆の深さを感じさせるコメントが。そして3人は、劇中で菅田が銃を扱うシーンでの放送禁止スレスレのエピソードで盛り上がり、会場の大爆笑を誘っていた。
「この映画は僕だけの力じゃなくて、撮影スタッフの皆さんも一つの家族になって作り上げてくれた。そのことに本当に感謝です」とまじめなコメントを披露して撮影時からの成長ぶりを見せつけたYOSHI。「デビュー作で主演という大きな役をやらせていただいて、大変だったこともありましたけど本当に毎日楽しかった。この映画は、考えずに体でフィールして『うおーっ!』って力で観てほしいです」と独特な表現で観客に呼びかけた。
取材・文/久保田 和馬