「スカーレット」のおてんば姿だけじゃない!戸田恵梨香が巧みな演技力で魅せる“感情の機微”
2006年に『デスノート』2部作の弥海砂役で映画デビューし、その後も「SPEC」や「コード・ブルー」シリーズなど、映画やドラマで幅広く活躍してきた戸田恵梨香。現在放送中のNHK連続テレビ小説「スカーレット」では、のちに陶芸家の道に進むヒロイン役で10代後半の少女時代を演じ、あどけない笑顔を振りまいている。そんな彼女が、11月1日(金)公開の『最初の晩餐』でも確かな演技力を見せている。
『最初の晩餐』は、本作が長編デビューとなる常盤司郎監督が、自身の経験も交えながら書き上げたオリジナル作品。父の通夜をきっかけに再び集まった家族が、父が生前に遺したノートに書かれた料理を食べながら、家族として過ごした5年間の日々に思いをはせていくという物語だ。戸田のほか、脚本に惹かれ真っ先に手を上げたという染谷将太や、永瀬正敏、斉藤由貴、窪塚洋介といった豪華なキャストたちが顔をそろえている。
戸田が演じているのは、染谷扮する主人公の姉で、2人の子を持つ母親の美也子。お通夜の前から親戚と酒を飲み交わしたり、輪の外にいる弟に話に加わるよう仕向けたりと社交的で、息子が壺を割ってしまった際には厳しく叱るなど、親戚みんなに対して気配りができるしっかり者の人物だ。
弟には強めの口調で話しかけ、叔父に対しては無邪気に接するなど、戸田は相手によって声色や仕草を使い分けた演技で、相手との関係性をひと目でわかるように巧みに表現。「親戚の集まりでこういう人見たことある!」と思ってしまうような、説得力にあふれた姿を披露している。
そんな明るい姿の一方、父の再婚相手である斉藤由貴演じる母に対しては、眼差しや表情にどこか影を落とし、心の奥底に抱えているかすかな距離感を絶妙に感じさせる。物語の終盤で母から語られる“とある秘密”に対して見せる表情など、シリアスな演技も真に迫っている。
「スカーレット」ではおてんばな姿が印象的な彼女だが、本作では陰と陽を使い分け、持ち前の演技力をいかんなく発揮。ドラマ、映画に欠かせない存在である理由を証明するような姿はさすがのひと言だ。
文/トライワークス