SNSで話題沸騰中の『映画 すみっコぐらし』、男性限定上映会で制作秘話が明らかに!
女子小学生を中心に絶大な人気を博し、誕生から7周年を迎えた今年「日本キャラクター大賞2019」のグランプリを受賞した「すみっコぐらし」初の劇場用アニメーション『映画 すみっコぐらし とびだす絵本とひみつのコ』(公開中)の、男性限定上映イベント「ぼくらもすみっコ応援団!上映会」が13日に新宿ピカデリーにて開催。本作で脚本を務めたヨーロッパ企画の角田貴志と、朝日新聞記者の影山遼が上映後のトークショーに登壇した。
V6の井ノ原快彦と女優の本上まなみがナレーションを務めた本作は、絵本の世界に迷い込んだすみっコたちが、そこで出会った新しい仲間“ひよこ?”のために大冒険を繰り広げていく物語。11月8日に公開されるや「泣ける!」という口コミが広がり、全国100館強での中規模公開ながら週末動員ランキングで初登場3位にランクイン。SNSではトレンド1位を獲得するほどの話題沸騰ぶりに、今後拡大公開も予定されているとのこと。
この日の上映会は、普段“すみっコ”好きであることをなかなか人に言えずにいる男性たちのために企画されたものとあって、会場にはすみっコファンの男性たちが多数集結。満員となった会場には、ぬいぐるみなどのグッズを持参しているファンや、公開から数日しか経っていないにもかかわらず何度も作品を観ているという熱狂的なファンの姿も見受けられた。
その異様なほどの熱気に「すごいですね」と目を丸くした角田は「(脚本を書く上で)男性や女性といったターゲットは気にしておらず、それよりも小さいお子さんにわかるようにすることと、すみっコファンが喜んでくれるものを作ろうと意識していた」と振り返る。また“すみっコ好き男子”代表として登壇した影山は、自宅から連れてきたという“ぺんぎん?”のぬいぐるみを抱えながら「可愛いとか癒しというのは女性や子どもだけのものでも、男性だけのものでもなく、性別や年齢は問わない」と熱弁を振るった。
その後2人はすみっコとの出会いや、本作がどのように作られていったかなどの制作秘話を語っていく。「観る前にはどういう映画になるのかとか、しゃべりだしたら困るなって思っていた」とファンならではの不安を抱えていたことを明かす影山に、角田は「すみっコの生みの親であるよこみぞさんが『すみっコたちの声が想像できない』とおっしゃっていて、初めのうちからしゃべらせないという方針がありました」と語り、「一番思い入れのあるよこみぞさんが強い意志で押し通してくれて、結果として良かったなと思いました」と斬新な作風に自信をのぞかせる。
さらに「僕や横溝さんをはじめ、監督やスタッフがみんなでアイデアを出しあって作ったお話です。最初のプロットの段階でよこみぞさんが考えた案がいくつかあって、それをミックスしました」と、絵本の中にすみっコたちが迷い込むというストーリーが生まれた経緯を明かす角田に、「絵本はすみっコたちができる最大限の冒険でぴったり。それに、絵本の中に敵がいなくてみんなが優しい」と影山は大絶賛。
それには角田も「特別気を付けたわけじゃないんですが、例えば怖い存在である鬼も怖くしようとはならなかったし、そもそも敵を作ろうという考えもなかった。それは『すみっコぐらし』というキャラクターが最初から持っているテーマやが影響しているんですかね」とコメント。「すみっコぐらし」が愛される理由のひとつであるその優しい世界観が、しっかりと映画に反映されていることを感じさせた。
取材・文/久保田 和馬