福原遥、まいんちゃんを「超えていきたい」 新境地に挑む女優魂|最新の映画ニュースならMOVIE WALKER PRESS
福原遥、まいんちゃんを「超えていきたい」 新境地に挑む女優魂

インタビュー

福原遥、まいんちゃんを「超えていきたい」 新境地に挑む女優魂

「クッキンアイドル アイ!マイ!まいん!」の存在は「宝物のよう」
「クッキンアイドル アイ!マイ!まいん!」の存在は「宝物のよう」撮影/黒羽政士

2009年から2013年まで放送された「クッキンアイドル アイ!マイ!まいん!」で注目されて以来、“まいんちゃん”の愛称でも親しまれている福原遥が、女優として次々と新境地を開拓している。スプラッター・ラブコメディ漫画を映画化した『羊とオオカミの恋と殺人』(11月29日公開)では、美しき殺人鬼役を熱演し、強烈な個性を発揮した。イメージを覆すような役柄となったが、福原は「殺人鬼役をやってみたいと思っていた」とニッコリ。「もっともっと深くお芝居を知りたい」と意欲を燃やす福原が、「いまでも“まいんちゃん”と呼んでいただけるのはとてもうれしいです。そしてそれを超えるような代表作に出会いたい、作りたいなと思っています」という、21歳の胸の内を明かした。

「殺人鬼が出てくる恋のお話って、どうなるんだろうと想像もつきませんでした」

美しき殺人鬼が登場!
美しき殺人鬼が登場![c]2019「羊とオオカミの恋と殺人」製作委員会 (C)裸村/講談社

漫画アプリ「マンガボックス」で連載されて話題を呼んだ「穴殺人」を映画化した本作。自殺志願者の大学生、黒須(杉野遥亮)と、美人の殺人鬼、宮市(福原)との出会いと恋を描くラブストーリーだ。凄惨な殺人を重ねる殺人鬼役を得た福原は「念願の殺人鬼です」とキュートな笑顔を見せつつ、「殺人鬼が出てくる恋のお話って、どうなるんだろうと想像もつきませんでした。原作を読んでみたら、宮市がどこか危うい一面を持った、とても魅力的な女性だったので、『私で大丈夫かな?』と不安にもなりました」と告白。

その言葉通り、宮市は殺人鬼というインパクトだけでなく、黒須を虜にするような可憐さ、繊細さを持ち合わせた難しい役どころだ。その不安を払拭してくれたのは、福原と共にダブル主演を果たした黒須役の杉野の存在だ。「黒須くんと宮市の関係性や作品の世界観は独特ですが、現場に入って、実際に杉野くんの目を見てお芝居をしてみたら、宮市の細かい心情までを感じることができたので、なんの違和感もなく役柄に入り込めたような気がしています。黒須くんと向き合うことでわかることがたくさんありました」と生の掛け合いから、宮市を深く理解していったという。杉野とはドラマ「グッドモーニング・コール」でも共演したことがあり、「お芝居に対してもまっすぐで、とても尊敬している方です。『杉野くんと一緒ならばきっと大丈夫だ!』という安心感がありました」と信頼感を明かしていた。

「アクションもそうですし、初めてのことばかりでした」

舞うような殺人シーンにも注目
舞うような殺人シーンにも注目[c]2019「羊とオオカミの恋と殺人」製作委員会 (C)裸村/講談社

カッターナイフを手に、次々と犯行を繰り返す連続殺人鬼の宮市。殺す相手の背中の上で回転したり、アクションとダンスをミックスしたような恐ろしくも華麗な殺人シーンは、見るものに強い印象を残す。「殺人シーンは、クランクイン前からレッスンを重ねました。振り付けの先生についていただいたのですが、コンテンポラリーダンスのように、舞うような表現ができたら良いなという話しをして、宮市の魅力や美しさを全面に表せるように練習していました」というが、もともと「ダンスは大好き」なのだそう。

「もともと子役事務所に入ったのも、ダンスがやりたかったからなんです。でも今回は難しかったですね。まず、『ここの骨はこう動く』など、人体の作りを学ぶところから始まりました。相手の上に乗っかって回転する時は、あるポイントに体重を乗せないとうまく回れなかったりするので、細かい動きを練習する必要もありましたし、相手を信頼することも大切でした」と新たな経験ができた作品となった様子。「アクションもそうですし、初めてのことばかりでした。でもやりたいことが詰まっていた作品だったので、とてもうれしかったです」。

「原動力は悔しさ」

【写真を見る】福原遥、クッションを抱きしめてキュートすぎる笑顔!
【写真を見る】福原遥、クッションを抱きしめてキュートすぎる笑顔!撮影/黒羽政士

今年は連続ドラマ「3年A組 ―今から皆さんは、人質です―」で、“敵に回すと一番厄介”な女子高生役を、『映画 賭ケグルイ』では狂気を爆発させる女子高生役を演じるなど、癒しの笑顔を持つ当の本人とはイメージのかけ離れた役柄を体現し、大いに話題を呼んだ。「演じるまでは不安もたくさんありますが、自分が理解できないような役柄をやるのは、とてもおもしろいです。そういった役は、人によって演じ方がまったく変わってくるものだと思うので、自分にしかできない表現でいろいろな役柄に挑戦してみたい」と女優業への意気込みを語る。

チャレンジングな役柄を「どんどんやっていきたい」と願っているそうだが、「ここ2年くらい、本当に幅広い役に挑戦させていただいていています。ものすごくありがたいこと」と感謝しつつ、「でもその度に、自分の引き出しがまだまだ足りないなと悔しい想いもします」と課題も感じているという。難役にトライし続ける原動力は、その“悔しさ”だ。「毎回、作品ができるごとに『ステキな作品ができたな』と思いますが、自分のお芝居に納得したことは一度もありません。悔しい気持ちになりますし、より良いお芝居をしたいと思います」と柔らかな笑顔の裏に、驚くほどの芯の強さを秘めている。

「まいんちゃんと呼ばれるのはうれしい。超えるような代表作にも出会いたい」

「いまでも“まいんちゃん”と呼んでいただけることは、とてもうれしい」
「いまでも“まいんちゃん”と呼んでいただけることは、とてもうれしい」撮影/黒羽政士

そしてもう一つ原動力となるのが、「現場で『こうなりたいな』と思う素敵な方々にたくさん出会えること」と現場で受ける刺激だという。「『烈車戦隊トッキュウジャー』の映画に出させていただいた時に、お芝居がすごく楽しいと思いました。『グッドモーニング・コール』で初めて主演をやらせていただいた時は、一つの作品をみんなでつくるという熱気に感動しました。『3年A組』では、刺激的な3か月を過ごし、菅田将暉さんともご一緒できて、こんな俳優になりたいと思いました。作品を重ねるごとに『もっともっと深くお芝居を知りたい』という気持ちがどんどん膨らんでいます」。

原点である「クッキンアイドル アイ!マイ!まいん!」の存在は、「本当に大きなもので、宝物のよう」と心を込める。「声優、ダンス、料理、お芝居など、初めてのことにいろいろと挑戦させていただきました。スタッフの皆さんは家族のような存在で、いまでも会ったりしているんです。これまでやったお仕事のなかでも、4年間という一番長い時間を過ごした作品で、まいん役でたくさんの方に知っていただくこともできて、感謝しかない」と語りつつ、「いまでも“まいんちゃん”と呼んでいただけることは、とてもうれしいこと。小さいころからお仕事をしてきた経験は、今後にも活かしていきたいですし、同時にそれを超えるような代表作に出会いたい、作りたいなと思っています」と未来を見つめる。これからがますます楽しみな21歳だ。

これからの活躍がますます期待される21歳!
これからの活躍がますます期待される21歳!撮影/黒羽政士

取材・文/成田 おり枝

関連作品