『アナと雪の女王2』も楽曲が話題!ロペス夫妻が明かす、せつない制作秘話とは?|最新の映画ニュースならMOVIE WALKER PRESS
『アナと雪の女王2』も楽曲が話題!ロペス夫妻が明かす、せつない制作秘話とは?

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『アナと雪の女王2』も楽曲が話題!ロペス夫妻が明かす、せつない制作秘話とは?

『アナと雪の女王2』の楽曲を手掛けたロバート・ロペスとクリステン・アンダーソン=ロペス夫妻
『アナと雪の女王2』の楽曲を手掛けたロバート・ロペスとクリステン・アンダーソン=ロペス夫妻

11月22日より公開された5年ぶりの続編『アナと雪の女王2』で、再び「アナ雪」旋風が日本中を席巻しそう。日本の歴代興行収入第3位となる約255億円を叩き出した前作は、主題歌「レット・イット・ゴー~ありのままで~」も一世を風靡したが、続編の主題歌「イントゥ・ジ・アンノウン~心のままに」もソウルフルで力強いナンバーとなった。本作を手掛けたのは、前作から続投したロバート・ロペスとクリステン・アンダーソン=ロペス夫妻。来日した2人が、楽曲に秘められた想いを語ってくれた。

前作で姉妹の絆を深め、2人で仲良くアレンデール王国を治めていたエルサとアナの姉妹。ところが、エルサは自分にしか聞こえない不思議な声に誘われ、いつしか未知なる世界へと踏みだしていく。今回、エルサが持つ魔法の力の秘密が解き明かされることでも話題となっている本作。クリス・バックとジェニファー・リーという2人の監督はもちろん、日本語吹替版でも松たか子や神田沙也加たち声優陣が続投した。

「今回の曲は、スヴェンがクリストフの胸の内を語るんだ」 (ロバート)

『アナと雪の女王2』は11月22日(金)より全国公開中
『アナと雪の女王2』は11月22日(金)より全国公開中[c]2019 Disney. All Rights Reserved.

クリステンは2人の監督について「おそらく、いまの世の中で最高のストーリーテラー」と評し、前作同様にコラボレーションを楽しんだそうだ。「イントゥ・ジ・アンノウン~心のままに」について「エルサは自分が女王として君臨し、アナも近くにいてくれて、すべてが上手くいっているように思っていたけど、不思議な声が聞こえ始めてから、不安にかられていく。そして行ってはいけないと思いつつも、その声に誘われてしまう。そこを歌にしようと思ったわ」。

曲調は「レット・イット・ゴー~ありのままで~」よりも抑揚が激しく、転調することで、ドラマティックなウェーブを作る。「最初に短いフレーズを繰り返すことで、声に抵抗しようとするエルサの気持ちを表現した」というクリステン。

「『呼びかけてもムダなだけ。二度と危険は冒さない』と、不思議な声を突っぱねようとするけど、そのあとは心のままに体をゆだね、未知の世界へと飛びだしていく。エルサは、まさに月に向かって吠えるオオカミくらいの気持ちになって歌い上げるの」。

楽曲でもいろいろなサプライズが用意されている本作。今回気になるのは、アナとクリストフの恋愛模様だが、前作では短いバージョンしか歌わなかったクリストフのナンバー「トナカイのほうがずっといい」が“恋愛編”としてバージョンアップ。なんと相棒のトナカイ、スヴェンと共にデュエットをするという愉快な楽曲となっている。

ロバートによると「前作でも、クリストフはスヴェンの声を代弁していたけど、今度はスヴェンがクリストフの胸の内を語る。普段は感情を抑えがちなクリストフだが、あの歌のなかで、自分の気持ちを歌い上げるんだ。そこは爽快感が出ていると思う」とのこと。同シーンでは、ある人気アーティストへのオマージュも入っているのでお見逃しなく。

今回、アナに何度もプロポーズをしようとするクリストフ。アナへの深い愛を歌い上げる「恋の迷い子」もハートに響く1曲だ。ロバートは「クリストフは、『男は強くなければいけない。泣いてはいけない』と言われてきたタイプだ。そんな彼に対して、素直に気持ちを吐露するのはいいことだと奨励する曲にしたかった。時には弱さだって見せなさいと、僕は言いたかったよ」と、まさに恋する男の心を代弁する曲に仕上がった。

「どん底から這い上がろうとする人たちに向けての歌を書きたいと思った」(クリステン)

エルサが不思議な声に導かれていく
エルサが不思議な声に導かれていく[c]2019 Disney. All Rights Reserved.

今回の続編では、“秋”がフィーチャーされているが、クリス・バック監督が「秋は成熟した季節。つまり、キャラクターたちが歳月を経て、それぞれ成長していることを表現したかった」とイベントで解説していたとおり、それぞれのキャラクターが人生の局面を迎えていく。特に、これまで陽気なキャラクターとして描かれていたアナが、失意のどん底に突き落とされるシーンに驚く。そこで流れる楽曲「わたしにできること」の歌詞が実に深く、それはトロールが言う「未来が見えない時は、いまできることをする」という深いメッセージを反復するような内容になっている。

クリステンによると「魔法を使えるエルサは神話的な役割を果たすから、内容も人間離れしたものになる。でも、アナはある意味、普通の人間だから、等身大の気持ちを歌う曲にしているの」とそれぞれに曲を使い分けていると言う。

「今回アナが、人生においてとてつもない悲しみの深淵に置かれ、足を止めてしまうけど、もしも、私たちがそういう境遇に置かれたらどうするのか、そしてどうやって立ち上がるかを考えて、あの曲を作っていった」と言ったあと、クリステンは同曲に込めた、ある秘話を明かしてくれた。

「実は、前作のジャンケットツアー中に、クリス・バック監督がご子息を亡くされていて。私たちは、悲しみに暮れる彼をずっと目の当たりにしてきたの。彼は、本当に大きな喪失感や苦悩のなかから、一歩ずつ立ち上がっていった。私たちはその姿をそばで見てきたので、そういう想いも歌に込めました」と言うと、ロバートも「ものすごく辛そうで、一時期は本当に大変だったよ」とうなずく。

「そこで私たちは、どん底から這い上がろうとする人たちに向けての歌を書きたいと思った。だから敢えて彼らの苦悩を投影し、最高の曲を作ろうと思った」というクリステン。

アナとオラフのほのぼのとしたやりとり
アナとオラフのほのぼのとしたやりとり[c]2019 Disney. All Rights Reserved.

これには後日談もある。「クリスに『この話をしていいの?』という許可は取ってあるけど、曲が完成後に、クリスの奥さんから、すごく美しい手紙をいただいた。そこには『わたしにできること』は、本当の悲しみをすごく捉えている曲で、私たち夫婦もすばらしいと思ったと書かれていた」。アナの慟哭を描きつつ、逆境に負けない強さを打ちだした同曲は、観る者の琴線と涙腺を揺さぶるに違いない。

あうんの呼吸で質問に答えてくれた2人は、公私共にベストパートナーという印象を受ける。曲を作る時の役割分担について聞いてみると、ロバートが「僕がピアノを弾いて作曲を担当し、彼女が詞を書くことが多いけど、彼女も作曲家なので、曲の提案もしてくれる」と答え、クリステンが「そうね。逆に彼が詞を書くこともあるし」と言う。するとロバートが「そうだよ。まあ、いい曲は全部、僕が書いたことにしておいて」と絶妙な合いの手を入れ、2人で大爆笑する。

仲良くキス!
仲良くキス!

愚問だと思いつつ「喧嘩などはしないんですか?」と聞いてみると、2人は「意見がぶつかることはあるよ」とすんなり認める。ロバートが「でも、僕のほうが折れるかな?」とおちゃめに言うと、クリステンが「折れることなんてないよ。なぜなら、2人で話し合って、常に解決策を見出すから。それはポジティブな行為なの」と、笑顔でお互いを見合った。ちなみに、写真を撮る際には、なんとキスまでしてくれた。

前作『アナと雪の女王』の「レット・イット・ゴー」と、ディズニー/ピクサーのアニメーション映画『リメンバー・ミー』(17)で、2度目のアカデミー賞歌曲賞を受賞しているが、本作にも大いに期待がかかっている。まさに彼らあっての「アナ雪」だと改めて痛感した。

取材・文/山崎 伸子

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