GM重役から麻薬に手を染め転落…伝説の車の開発者“ジョン・デロリアン”の半生が壮絶
「バック・トゥ・ザ・フューチャー」シリーズに登場するタイムマシンのベースになった伝説の車「デロリアン(DMC-12)」。その開発者であるジョン・ザッカリー・デロリアンに迫った『ジョン・デロリアン』が公開中だ。誰もが知っているデロリアンだが、日本では開発者のジョンについては、あまり知られていない。実は彼、かなり破天荒な人生を歩んだ男だったのだ!
米国デトロイトの自動車メーカーGM(ゼネラルモーターズ)の副社長にまで上り詰めた天才エンジニア、ジョン・デロリアンは理想の車を作るために会社を辞職し、自ら自動車メーカーを立ち上げる。イギリス政府の出資を得てアイルランドに工場を建てた彼は、ついに記念すべき第一号車で、夢の車として作り上げ自身の名前を冠した「デロリアン(DMC-12)」を完成させる。しかし、その売り上げは振るわず資金繰りが困難に。そして倒産への道をたどるのだが、その決め手となったのはジョンの麻薬取引による逮捕だった。
豪華なホームパーティを開くなど、順風満帆に見えたその余裕の笑顔は、「クズ車を売りやがって!」というデロリアンを買った人気テレビ司会者からのクレームで、徐々に崩されることになる。生産した8000台の車は3000台しか売れず、会社の状況は悪化。追い詰められたジョンは、麻薬組織とつながりのある隣人であり友人のジム(ジェイソン・サダイキス)に「助けてくれ」と懇願することに。しかし、これが破滅への一歩だった…。本作はアメリカンドリームをおう歌する中での「デロリアン」誕生を経て、逮捕、裁判へと堕ちていくジョンの激動の半生に焦点を当てて描かれている。
ジョンを演じるのは『ホビット』シリーズのエルフ王スランドゥイル役などで知られるリー・ペイス。サングラスを外すと現れる太い眉毛が特徴的だ。本作では、そんな眉毛の下のつぶらな瞳をプレイボーイ的にウインクして、ズルを隠し、事実を誇張するペテン師めいた実業家を巧みに演じている。一方で、コミカルで人間味あふれるジムに心を開いていたジョンだけに、麻薬取引でハメられたと知った時の表情の変化にはグッとさせられる。
いまなおカルト的人気を誇る名車「デロリアン」開発者の波乱の人生を描いた『ジョン・デロリアン』。彼の人生を知れば、悪に手を染めようとも“夢の車”を追い求める姿に心震わされることだろう。伝説の車誕生の裏側に何があったのか、ぜひ劇場で見届けてほしい!
文/トライワークス