『男はつらいよ』50作目の新作に万雷の拍手やまず!山田洋次監督「渥美さんにもう一回、会いたい」
「男はつらいよ」シリーズの50作目の新作『男はつらいよ お帰り 寅さん』(12月27日)のプレミア試写会が12月19日に丸の内ピカデリーで開催され、倍賞千恵子、吉岡秀隆、後藤久美子、前田吟、池脇千鶴、桜田ひより、夏木マリ、山田洋次監督が登壇。上映後の会場からはスタンディングオベーションがわき起こり、「山田監督、ありがとう!」「パーフェクト!」との歓声と万雷の拍手と共に迎えられたメンバー。山田監督は「僕たちの『渥美(清)さんにもう一回、会いたい』という気持ちがそのまま、この映画に反映されている。主役は寅さん」と完成作に込めた想いを語った。
主人公の“寅さん”こと車寅次郎(渥美)が、家族や恋したマドンナを巻き込み、騒動を巻き起こすさまをつづる本シリーズ。最新作では生みの親である山田洋次監督のもと、4Kデジタル修復されてよみがえる過去作の名シーンを交えながら、新たなる物語を描きだす。
会場からのスタンディングオベーションと拍手は、司会が「どうぞお座りください」と呼びかけるまで鳴りやまず、登壇者陣も感無量の面持ちで観客に手を振った。山田監督は「50年かけて作りました」と挨拶。本作のきっかけについて「僕の親しい画家である横尾忠則さんから、『おもしろいショット、好きなショット、いいショットを拾いだして並べてみると、別の映画にならないかな』と提案された。なるほどなと思った」と振り返り、「主役は寅さん。大天才だと僕は思いますが、渥美さんに捧げる形にしました」と語る。
さらに山田監督は「僕はいろいろな作品を撮りましたけれど、いつでも出来上がった作品は、『どこかで渥美さんが観てくれているはずだ』と思っていました。渥美さんに褒められるといいなと思っていた」といつも渥美の存在に励まされていることを告白。「今度の作品こそ、渥美さんが『俺も出てきているけれど、なかなかよくできていたよ』と笑いながら言ってくださったらうれしいと願っていますと」と語り、会場から大きな拍手を浴びていた。
長年、夫婦役を演じてきたのが倍賞と前田。さくら役の倍賞とのやり取りについて、前田が「久しぶりに(台本の)読み合わせをして、やっぱりさくらさんはものすごくやりやすいなと思った」、「(演じた)博さんから人生を教わった」と語る一幕もあったが、倍賞も「そのままふっと夫婦に入れた」と同調。1作目で結婚前の博がさくらに告白するシーンを何十年ぶりかに見て「ボロボロと涙が出た」そうで、「あなた、ステキよ」と改めて“夫”に惚れ込んでいた。
成田 おり枝