のん、小野大輔から手紙届き「レア!うれしい」“夫”細谷佳正は「複雑です」
『この世界の片隅に』(16)に新規カットを加えた映画『この世界の(さらにいくつもの)片隅に』の公開記念舞台挨拶が12月21日にテアトル新宿で開催され、のん、細谷佳正、尾身美詞、潘めぐみ、岩井七世、新谷真弓、牛山茂、片渕須直監督が登壇。のんが「また新作として送りだすという、他にない経験をさせていただいた。喜びに満ちています」と感激の想いを語った。
第二次世界大戦下の広島を舞台に呉へとお嫁にやってきたすず(のん)が懸命に生きていく姿をつづり、国内外で大きな反響を呼んだ『この世界の片隅に』に250カットを超える新エピソードを加えて新たな物語として描きだす本作。これまでに目にしていたシーンや人物像が、まったく異なる印象で息づきはじめる。
制作まで時間がかかったこともあり、のんが「3年の年月が経つとは思わなかった」と語ると、すずの夫の周作役を演じた細谷も「そんなに待つとは思わなかったですね」と同調して会場の笑いを誘った2人。のんは「(前作を含め)9年もひとつの作品に力を注いで、真っ直ぐに作品を作っていく執念。そういう監督の作品に参加できたことがすごく誇らしい。一生忘れないなと思います」と本作が自身にとって宝物となったことを明かし、晴れやかな笑顔を見せていた。
細谷は「前回よりも、周作さんが男性なんだと意識させられる内容だった」と『この世界の片隅に』からの変化について吐露。「『この世界の片隅に』では夫婦間、男女間の愛というよりは、人間愛に近い形で描かれていた印象。今回は台本をいただいて、新婚から始まっている男女のリアリティみたいなものがあった」と演じるうえでもいろいろと考える部分があったという。
ステージには、すずの幼なじみの水原哲役を演じた小野大輔から手紙が届くひと幕も。心のこもった手紙に聞き入っていたのんは「すごくレア!うれしいですね。小野さんのお気持ちをお聞きするのも貴重」とニッコリ。細谷は「役としては複雑です…なんかちょっと複雑です」と周作の気持ちになって嫉妬混じりに語り、会場を笑わせていた。
「いつ終わるんだろうと思ったんですが、とうとうこうやってみんなと一緒に並ぶことができました」と会場を見渡した片渕監督は、「みなさんが、ずっとあの場所にずっといた人、まだ生活をし続けている人として演じてくださった。それがつながって、1本の長い長い映画になった」と声優陣に感謝。「『この世界の片隅に』は1133日、上映を続けることができた。昨日が1134日目。また1日目からのスタート。ずっとずっと応援していただけるとうれしい」と語りかけ、大きな拍手を浴びていた。
取材・文/成田 おり枝