田中圭が“モテ男”を演じた『mellow』公開!「恋愛していくための練習台みたい」
『愛がなんだ』(19)や『アイネクライネナハトムジーク』(19)など、恋愛映画の旗手として多くの映画ファンから支持を集める今泉力哉監督の最新作『mellow』が17日に公開初日を迎え、新宿バルト9にて初日舞台挨拶が開催。主演を務めた田中圭とヒロインを演じた岡崎紗絵、志田彩良、松木エレナ、白鳥玉季、ともさかりえ、そして今泉監督が登壇した。
本作は街で一番オシャレな花屋と廃業寸前のラーメン屋を舞台に巻き起こる恋愛群像劇。「mellow」という花屋を営む独身で彼女なしの夏目誠一は、近所のラーメン屋を営む木帆や、近所の美容室の娘、宏美など様々な常連客に囲まれながら、好きな花の仕事をして穏やかに暮らしていた。そんなある日、常連客のひとりで人妻の麻里子に恋心を打ち明けられた夏目。そこから彼は、様々な人の恋模様に巻き込まれていくことに…。
今泉組初参加となった田中は、最初に脚本を読んだ時の印象について「着眼点がすごいなと思った。大きな出来事はなく、日常に当たり前にあるようなことが丁寧に紡がれていて、今泉監督ってどういう人なんだろうと思いました」と明かす。そして他の作品でも事前に役作りをしないタイプだという田中は「今回も特にしてないです」と微笑み、「現場で監督とか皆さんと一緒にこの『mellow』の世界に行けるように、ひとつひとつ作っていった夏目のほうがいいんじゃないかと思って役作りをしませんでした」と語った。
そんな田中が演じた夏目という役柄について、アイデア段階ではモテるキャラクターではなかったことを今泉監督は明かし「もっと矢印がバラついていたり、男性がもう1人いたりしたのですが、話を書いているうちに全部夏目に向いていてもいいかなってなりました(笑)。向いているけどうれしい矢印じゃなかったり、困る部分とか気まずさとか、そういう部分で映画を作れたらと考えて作っていました」と振り返る。
それを受けて田中自身は「でも途中でふと、実はそこまでモテていないなと(笑)。ちょっと好きだけどそんなに好きにならないちょうどいい奴というか、恋愛していくための練習台みたいな独特の好意の寄せられ方をしている感覚がありました」と告白。すると今泉監督は「モテる人だと思って演じてたらきっと嫌な奴になっていたと思う」と、手探りで夏目役に向き合った田中の演技に賛辞を送った。
そして最後にキャスト陣を代表してマイクを取った田中は「人が誰かを想ったりすることのあたたかさや、誰かを好きになったり誰かに興味を持つことのあたたかさを教えてくれる映画。人のことを考えさせてくれるすごくいい作品になっていると思います」と語り、作品を観終えたばかりの観客に向けて「きっと皆さんはメロウな気持ちになっていて、このあとラーメンを食べに行こうと考えてると思うので、その後に誰かのことを想って花屋さんに寄って、お花を見てくれたらいいなと思っています!」と笑顔で呼びかけていた。
取材・文/久保田 和馬