【第92回アカデミー賞】主演男優賞は『ジョーカー』のホアキン・フェニックスが初受賞!「俳優として、我々は声なき者の声を挙げることができる」
現地時間2月9日(日本時間10日)、ロサンゼルスのドルビー・シアターで開催中の第92回アカデミー賞授賞式。主演男優賞に輝いたのは、最多11部門にノミネートされた『ジョーカー』(19)のホアキン・フェニックスだった。アカデミー賞では『グラディエーター』(00)で第73回に助演男優賞、第78回の『ウォーク・ザ・ライン/君につづく道』(05)と第85回の『ザ・マスター』(12)と本作で主演男優賞に3回ノミネートされていたホアキンが今回初のオスカーを手にした。
『ジョーカー』は、DCコミックスの「バットマン」シリーズにおける悪のカリスマ、ジョーカーの誕生を描く衝撃作。ホアキンが演じたのは、コメディアンを夢見る孤独な青年アーサー役で、社会から阻害され、やがて恐ろしいジョーカーへと変貌していく。ホアキンは、本作のために約24kgも減量し、研ぎ澄まされた演技を見せた。
スタンディングオベーションに包まれて登場したホアキンは「本当に感謝してます。でも、自分が他の候補者よりも優れているとは思ってません。僕はすばらしい映画人生を送ることができました。そして、俳優として、我々は声なき者の声を挙げることができる機会を得ることができています」と語ったあと、男女平等、人種差別、ジェンダー問題から地球環境問題にいたるまで、ありとあらゆる問題を口にしていった。
「それらの問題は、愛情や思いやりを持っていけば、変えていくことができる。僕もこれまで悪いことや残酷なことをしてきたし、仕事をしない時もありました。でも、チャンスを与えてくれて感謝している」と言ったあと、亡き兄、リヴァー・フェニックスの「お互いに協力すること、愛情と協力する心を持って人を助けましょう」という言葉を引用し、力強く締めくくった。
アカデミー賞の前哨戦でもホアキンは、第77回ゴールデン・グローブ賞の主演男優賞(ドラマ部門)をはじめ、第25回放送映画批評家協会賞、第26回米映画俳優組合員賞(SAG) などを受賞。日本でも、R指定作品ながら、興行収入50億円を超えるメガヒットとなった。
文/山崎 伸子