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これさえ見れば経済通? 映画界に経済映画ブームが到来

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これさえ見れば経済通? 映画界に経済映画ブームが到来

日常生活とは切っても切れない関係にありながら、その堅苦しそうな響きからちょっと敬遠しがちな経済の話題。長引く不況や東日本大震災の影響などもあり、日本経済に漠然とした危機感を抱いている方も多いだろうが、実際に向き合うにはやはりきっかけが必要かもしれない。そこでお勧めしたいのが、映画を見ること。実は今、経済をテーマに扱った様々な映画が公開されており、ちょっとした経済映画ブームが起きているのだ。

現在公開中の『インサイド・ジョブ 世界不況の知られざる真実』は、2008年に起きた世界金融危機を描き、第83回アカデミー賞長編ドキュメンタリー賞を受賞した社会派作品。今なお続く世界規模の不況を引き起こしたリーマンショック、そしてサブプライムローン問題の原因を解明するため、関係者たちにインタビューを行い、金融危機が投資銀行、政府、大学教授たちなどが起こした犯罪であることを明らかにしていく。シリアスな内容だけに難解そうに思えるが、要所で解説もしてくれるので安心して見られる。むしろ、事件の当事者である政治家や経済アナリストらが、インタビュワーの鋭い追及を受けてたじたじになっていく映像は、ドキュメンタリーならではの緊張感に満ちていて、下手なフィクションよりも引き込まれてしまうはずだ。

そして、5月28日から公開されているのが、全世界で400万部という経済書としては異例の売り上げを誇る大ベストセラーを映画化した『ヤバい経済学』だ。こちらはエンタメ寄りの作品で、“親が赤ちゃんにつけた名前は、その後の人生に影響するのか?”“不動産屋が自分の家を売るコツとは?”“ニューヨークで1990年代に犯罪が激減した意外な理由とは?”といった、誰もが興味をそそられそうな身近な謎を扱っている。一見、経済など関係がないように思えるが、取り上げられる現象には意外な因果関係があり、それを統計やデータを駆使して解き明かすことで、経済学を知ることができるという寸法だ。日本人には身近な話題である大相撲の八百長問題も扱われており、まさにタイトル通りの鋭い切り口の数々は見逃せない。

前述の二本以外にも、グローバリゼーションがもたらす問題を取り上げ、幸福とは何なのかを追求するドキュメンタリー『幸せの経済学』(公開中)や、経営学がメインではあるが、女子高生と高校球児たちの青春ドラマを通して経営管理を学べる『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの「マネジメント」を読んだら』(6月4日公開)も、一種の経済映画と言えるだろう。どの作品も、経済について考えてみるには最適な映画ばかり。先行きが不透明な未来を生き抜くためにも、この機会に経済について自分なりに考えてみるのも良いかもしれない。【トライワークス】

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