妻夫木聡、デビュー当時は「芸能界をナメていた」と振り返る
俳優の妻夫木聡が5月28日、都内で行われた映画『マイ・バック・ページ』の初日舞台挨拶に共演者の松山ケンイチ、忽那汐里、韓英恵、中村蒼、そして山下敦弘監督と登壇。これまでを振り返って「役者になれたこと」が自分の人生を左右させた出来事と話した。
上映後の舞台挨拶は、本作にとって初めてとなるだけに、妻夫木は「決してニコニコできる終わり方ではない作品だけれど、観客のリアクションを味わえたのが嬉しい」と喜びのコメント。犬の散歩をしている時に雨が降っていて、観客が集まるか心配だったという松山も「今日は若い人もいると思うけれど、この時代を知ることが大切。興味を持つと共にに、今を生きる自分と向き合ってくれたら」と自信に満ちた表情でメッセージした。
作品のテーマにちなんで、人生を左右させた出来事を聞かれた妻夫木は、「役者になれたこと」と一言。しかし、デビュー当時は「役者をやろうとは思っていなくて、芸能界への憧れだけでナメていた」と言い、「誰にでもできるものだと思っていたけれど、何もできない自分に挫折しました。そんな自分が嫌になって、それからガムシャラでしたね」と苦い経験を振り返った。
妻夫木同様に「現在の仕事」と答えた松山は、「16歳の時に上京して、20歳までバイトの生活でした。自分は役者なのか、フリーターじゃないのかとの葛藤があった」としみじみ。「色々な出会いがあって、20歳になって大きな仕事に出会えた。それは継続があったから。継続している人にそういうチャンスはやって来るし、今できる選択で悔いの残らない選択をしていくのが重要」と熱く語りかけた。
映画評論家・川本三郎のエッセイを、巧みな脚色力で群像劇に昇華させた本作。理想に燃える新聞記者の沢田(妻夫木)が、怪しげな活動家の梅山(松山)と出会い、シンパシーを感じてしまったことから起こる自衛官殺害事件の顛末を描く。東京大学や、作者の地元である阿佐ヶ谷にまで赴いて役作りに励んだという妻夫木の熱演にも注目したい。【Movie Walker】