『TAKAMINE』舞台挨拶で長谷川初範「日本は変わらなければいけない時期にある」

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『TAKAMINE』舞台挨拶で長谷川初範「日本は変わらなければいけない時期にある」

実在の化学者・高峰譲吉の生涯を描いた映画『さくら、さくら サムライ化学者 高峰譲吉の生涯』(11)の第二弾『TAKAMINE アメリカに桜を咲かせた男』(公開中)の初日舞台挨拶が5月28日、有楽町スバル座で行われ、出演者の長谷川初範、篠田三郎、渡辺裕之、田中美里、川久保拓司、ナオミ・グレースと、市川徹監督が登壇した。

タカヂアスターゼの発見、止血剤アドレナリンの結晶化など、ノーベル賞級の偉業を果たした化学者・高峰譲吉が、今から100年前に日米友好のシンボルとして桜をアメリカに贈った苦労や経緯を描いた本作。

この日の舞台挨拶では、実在した登場人物の当時の写真と、劇中のそれぞれの写真をパネルにしてお披露目。(ヒゲにメガネを掛けている)化学者の高峰譲吉を演じた長谷川は、「私のパネルは、カーネル・サンダースみたいですねえ(笑)」と茶目っ気たっぷりに語り、会場を和ませた。高峰譲吉の友人で東大出身者でもある桜井錠二を演じた篠田は、「私は東大の近くに住んでいるので、歩いている道は桜井さんと同じ道だと思います」と役柄に親近感を持ったようだ。

この日のために新調したというスーツで登場した渡辺は、役作りで「分け目を普段とは逆にして演じました」と裏話を明かしたが、共演者は気づいていなかったようだ。川久保は「ベテラン俳優の皆さんと共演できて非常に勉強になりました」と振り返り、長谷川のアドリブにあたふたしていたことを暴露されるも「現場で作り上げていくことで、(演技ではなく)本物の会話になったような気がして、良い経験になりました」と、苦労しながらも成長したことをアピール。アメリカでの撮影に挑んだ田中は、「英語が大変でした。映画がきっかけとなって、今では英会話の先生からもほめられるようになりました」と満足げ。劇中に出てきたワシントン出身のナオミ・グレースは、「8歳の時にワシントンの桜祭りに行ったことがあり、Destiny(運命)を感じた」と、本作への思いを語った。

本作の初めての試写が東日本大震災の翌日だったことから、市川監督は「日本に元気になってもらいたいと強く思っています。今後は、被災地でも上映したい」と自身の考えを話し、実家が茨城県水戸市にあり、被害にあった渡辺は「実家の7割は壊れていました。水戸市の避難所を7ヶ所回って来て、リボビタンDを配ってきました。僕が“ファイト!”というと避難所の皆さんが“一発!!”と返してくれて、嬉しかったですね。(本作でも描かれている)桜は、人が上を見上げられるように下を向いて咲くんです。だから、日本も元気になってほしい」と語り、会場でも観客と一体になって「ファイト!一発!!」を披露、日本中に気合いを入れた。また、最後には長谷川の出身校の学生から花束が贈られるサプライズもあり、長谷川は「地震以降、日本は色々変わってきている。変わらなければいけない時期にある。100年前の祖先が残してくれたものが、皆さんに伝われば良いなと思っています」とエールを送り、舞台挨拶を締めくくった。【Movie Walker】

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