日本映画史に名を残す女優陣が極寒の山中でクマと壮絶バトル
口減らしのために高齢になった老人を山に捨てるという姥捨て山伝説。今村昌平監督が深沢七郎の同名小説を映画化し、カンヌ国際映画祭でパルム・ドールに輝いた『楢山節考』(83)は姥捨て山伝説をテーマにした物語だったが、その後日談ともいえる作品が登場する。それが6月25日(土)公開の『デンデラ』だ。
村の掟に従い、70歳を迎えたカヨは息子に背負われ、山に捨てられる。いつしか意識を失っていた彼女の前に、かつて山に捨てられら老女たちが! そう、彼女たちは自分らを捨てた村の人々への復讐をもくろみ、山の中でたくましく生きていたのだ。しかもその数50人。
そんな老女たちにノーメイクで扮しているのは、カヨ役の浅丘ルリ子をはじめ、老婆たちのコミュニティ“デンデラ”の創始者に草笛光子、さらに倍賞美津子、山本陽子という数々の作品で日本映画史に名を残してきたベテラン女優陣だ。
撮影は『おくりびと』(08)の撮影も行われた山形県庄内地方の庄内映画村で、豪雪の1、2月に気温マイナス11度という過酷な状況の中で行われた。何とそれだけではなく、彼女たちは雪崩などの自然の脅威や、体長2mのクマとの壮絶なバトルシーンにも体当たりで挑んでいる。『地上最強のカラテPART2』(76)で巨大クマと戦い、“クマ殺し”の異名を持つ格闘家ウィリー・ウィリアムスではないが、老女たちが果敢にクマに立ち向かう様は必見だ。
なお、監督の天願大介は『楢山節考』の監督・今村昌平の長男にあたる。父が作った名作に対する答えを投げかけた作品という意味でも興味深い一作と言えるのではないだろうか。【トライワークス】
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