『マイティ・ソー』ケネス・ブラナー監督「壮大な親子&兄弟喧嘩だよ」
『マイティ・ソー』(7月2日後公開)のケネス・ブラナー監督は、日本では『ハリー・ポッターと秘密の部屋』(02)でナルシストでまぬけなギルデロイ・ロックハート先生役や、『ワルキューレ』(09)のヘニング・フォン・トレスコウ少将を演じたことでも有名だ。
俳優以外にも、監督・脚本・プロデューサーなど、様々な顔を持つケネス・ブラナーは、『ヘンリー五世』(90)で監督・主演を務め、以降、映画や舞台で古典作品を手がけてきた。中でも数々のシェイクスピア作品を映画化し、“シェイクスピアの名手”とも呼ばれる、イギリス映画界で最も高く評価され続けている一人でもある。
そんな彼がなぜ、ハリウッドの“アクション・ヒーロー大作”の監督を引き受けたのだろうか? 今回、独占入手したインタビューでは、本作の監督を引き受けた理由を、「ソーというキャラクターは全ての要素を持っているんだ。セクシーで知的でとてつもなく強いが、粗野で無鉄砲。良い意味で複雑な人物だ。ストーリーは神々の世界における、父と息子、そして兄弟の争いを描いている。色々なジャンルの要素をうまく組み合わせた映画だったからだ」と答えている。さらに、ソーのキャラクターについて、「見ているうちに応援したくなると思うよ。彼は18歳かそこらでとてつもない力や武器を与えられたが、使い方を学んでいなかった。それは成長への通過儀礼であり、多くの人が共感できるテーマだ。誰でも親兄弟と問題を抱えたり、自立したいと思う時期があるだろ? この作品ではそうした人間的な側面を非常に壮大なスケールで描いているんだ」と『マイティ・ソー』は壮大なスケールで描かれる親子、そして兄弟喧嘩であることを明かしてくれた。
『マイティ・ソー』には驚く要素が多い。その1つがアカデミー賞受賞者を含む、ベテランたちと有望な若手俳優陣が集まったキャストだ。さらに、まるで映画界の職人たちの紳士録のようなスタッフ(原案:J・マイケル・ストラジンスキー『チェンジリング』、衣装デザイン:アレクサンドラ・バーン『ハムレット』『オペラ座の怪人』」、音楽監修:パトリック・ドイル『ハムレット』『リトル・プリンセス』『ハリー・ポッターと炎のゴブレット』)である。多くの人々はシェイクスピアの名手がヒーロー映画の監督を引き受けたことに驚いたが、ケネス・ブラナーは本作について「作品中、凶暴なヨーロッパ人が何度か死闘を繰り広げる。まるで『ヘンリー五世』のようだから、『こういう作品になら以前にもやったことがあるぞ』と思ったよ。だから、ある意味、僕のキャリアはヒーロー映画から始まったとも言える。唯一の違いは、これまで僕が手がけてきた作品では『みんな変な話し方をする』ということだ(笑)」と冗談交じりに語り、周囲の驚きとはよそに、自然体で引き受けたことを教えてくれた。
シェイクスピアの名手が描き出したヒーロー映画はどんな世界になっているのか? 是非とも劇場で確かめてもらいたい。【Movie Walker】
※3日目の明日はオーディン役のアンソニー・ホプキンスです。