尾木ママも絶賛!『ナニー・マクフィー』で描かれる理想の教育のあり方とは?|最新の映画ニュースならMOVIE WALKER PRESS
尾木ママも絶賛!『ナニー・マクフィー』で描かれる理想の教育のあり方とは?

インタビュー

尾木ママも絶賛!『ナニー・マクフィー』で描かれる理想の教育のあり方とは?

不思議な魔法使いの活躍を描いた、イギリスの児童文学が題材のファンタジー『ナニー・マクフィーと空飛ぶ子ブタ』(7月2日公開)。そんな本作の親善大使を務めているのが、現在、様々なメディアで活躍中の教育評論家・尾木ママこと尾木直樹だ。今回は、ナニー・マクフィーならぬ“尾木ママクフィー”に扮した尾木ママに、映画の見どころや独自の教育論について語ってもらった。

――劇中でナニ―は、様々な魔法を駆使して子供たちに勇気や友情の大切さを教えていきますが、実際に母親が子供に教育を施す場合、どういう接し方をするべきなのでしょうか?

「まずは、子供たちのすること全てを“可愛い”と感じること。そして自分の考えを強引に押し付けないことです。『ご飯の食べ方はこうだ。お箸の持ち方はこうあるべきだ』といった固定観念があると、子供がそれと違うことをした時、必要以上に自分の子供が駄目に見えてしまうので、これは止めた方が良いですね。それと、何かにつけ子供を急かすのも良くないです。幼稚園や保育園に連れていく時に『遅れるから早くしなさい』と言ってしまう母親が多いんですけど、実はこれも大人の価値観の押し付けなんですよ。子供には子供の感覚があって、それぞれの目線で世界を見ているんです。だからガミガミと怒るだけじゃなくて、彼らと同じ高さから一緒に物事を見てあげることが大事なんです。そうやって同じ世界を見ながらお話をしてあげるだけで、子供たちの心は満たされて、次の行動に移ることができるんです。結論だけを求めるんじゃなくて、子供と一緒に楽しみながら、自分自身も親として成長する自覚を持つことが大切なんですね」

――教育評論家の立場から見て、本作はどういった点が見どころでしょうか?

「ナニーが子供たちに教える5つのレッスンに全てが集約されていますね。“ケンカをしない”“礼儀正しく、分かち合う”“互いに助け合う”など、どれもが教育上、大切なことばかりなんですが、ただ答えを教えるだけじゃなく、問題を解決していくプロセスがしっかり描かれているところが素晴らしい! 最初は気が合わずバラバラだった子供たちが、次第に力を合わせるようになり、一丸となって大きな問題に取り組んでいく。その過程に、教育科学的な要素がたっぷり盛り込まれているんです。だからこの映画は、親御さんだけじゃなく学校の先生にも見てもらって、是非、明日からの教育に活かしてほしいですね。やはり教育には、夢やロマンがないといけませんよ」

――ナニーの魔法のように、尾木ママクフィーが実践してきた教育法のなかで、最も効果的だったものを教えてください

「私は、もともと中学校で教師をしていたのですが、その頃は日本中の教育現場が荒れに荒れていて、不良と呼ばれる子供たちが非常に多かったんです。そんな子供たちと真正面から向き合う時は、剣道や柔道がいくら強くても何の役にも立たないんです。子供たち一人一人に『君のことが心配なんだ』『守ってあげたいんだ』という気持ちをどう伝えるか? その時の表情や態度など、こちらの思いをわかってもらうための自己表現の方法をしっかりと考えることが大切なんですよ。それがちゃんと伝われば、どんな子でも絶対に話を聞いてくれるんです。ところが最近では、ちょっとでも問題を起こした生徒には、罰則を与えることで問題を解決しようという風潮が主流になってしまいました。これじゃあ子供たちと真剣に向き合うことができないし、根本的な問題の解決にもなりません。この映画が、日本の教育体制のあり方について考え直すきっかけになってくれると嬉しいですね」

――小さなお子さんを持つお母さんが本作を鑑賞する際、注目するべきポイントはどこでしょう?

「劇中には、子供たちと同じくらい母親の心情を描いたシーンもあるので、育児に追われるお母さん方には感情移入しやすい内容になっていると思います。でも、ただ感情移入するだけでなく、最初はガミガミと怒りっぱなしだった彼女が、徐々に穏やかになっていき、子供たちと一緒に成長していく姿にも注目してほしいですね。そして、世のお父さんにも、この映画は是非見ていただきたい! 劇中では、父親は戦争に行ってしまい、家族と離れ離れになってしまいますが、遠く離れた場所にいても子供たちに勇気と安心感を与えてくれる存在として描かれています。そういう存在になるには、どうしたら良いのか? じっくり考えながら見てもらえると嬉しいですね」

奇想天外なヴィジュアルだけでなく、見るだけで勉強になる要素もたっぷり盛り込まれた傑作ファンタジー『ナニー・マクフィーと空飛ぶ子ブタ』。尾木ママクフィーおすすめのポイントにも注目すれば、物語がよりいっそう楽しめること間違いなしだ。【六壁露伴/Movie Walker】

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