ギネスにも認定された実在の84歳の小学生って?

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ギネスにも認定された実在の84歳の小学生って?

アメリカのオバマ大統領のルーツとしても知られる東アフリカのケニア共和国。かつてイギリスの植民地だった同国が1963年に独立を果たすきっかけを生んだのが「マウマウ団の乱」として知られる独立運動だ。そのマウマウ団のメンバーでもあった男性、キマニ・マルゲ氏の人生を綴った感動ドラマ『おじいさんと草原の小学校』が7月30日(土)から公開される。

84歳になるまで教育を受けたことがなかった老人が、小学一年生として読み書きの勉強をさせてほしいと訴え、彼の熱意に打たれた校長の配慮によって、子供たちと一緒に机を並べて勉強する。最高齢小学生として2004年にギネスにも認定されたマルゲ氏の物語の裏には、独立戦争の戦士として闘い、愛する妻子や仲間を目の前で虐殺され、強制収容所で拷問にかけられるといった壮絶な過去があった。しかし、彼は過去に打ち勝つため、未来を変えるため、2009年8月14日、90歳で胃がんにより息を引き取る瞬間まで、獣医になるという夢や誰もが教育を受けられる世界が訪れることを願い、勉強を続けたという。

アメリカのロサンゼルスタイムズ紙に寄せられたマルゲ氏の半生を綴る記事を読み、胸を打たれたのが『ナルニア国物語 第1章 ライオンと魔女』(05)などを手掛ける脚本家のアン・ピーコック。脚本家として本作に名を連ねている映画プロデューサー、サム・フォイアーとリチャード・ハーディングも同記事に感銘を受け、一週間もしないうちにケニアに飛び、直接映画化を願い出たほどに、マルゲ氏の物語は世界中の人々の心を動かす力を持っていたのだ。

2005年9月に国連ミレニアム・サミットに出席し、初等教育無料化の重要性を訴えるスピーチを行ったマルゲ氏。当時、国連事務総長だった2001年ノーベル平和賞受賞者コフィー・アナンは、「『おじいさんと草原の小学校』は感動を与えてくれる。そして『学ぶことに遅すぎることはない』という古い格言を証明している」とのコメントを残している。

マルゲ氏の波瀾万丈の物語は、学ぶことの喜び、そして最後まで夢をあきらめない不屈の精神の尊さを国や世代を超えて、あらゆる人々に教えてくれる人生の教科書となるに違いない。【トライワークス】

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