伝説のスター出演作や韓国映画の名作、日本の初期アニメも!世界中のフィルムアーカイブで映像の歴史を網羅
新型コロナウイルスの感染拡大に伴い日本国内のみならず世界中の多くの映画館が休業となり、また外出を自粛する動きが高まったことも受けて、NetflixやAmazon Prime Videoなど家庭で映像作品を楽しむことができる定額動画配信サービス(SVOD)への需要が高まると同時に、YouTubeやVimeoといった動画共有サービスなどで公式に配信される映画作品・映像作品にも大きな関心が寄せられている。そんななか、東京・京橋にある国立映画アーカイブのホームページで、興味深いページが紹介された。
それは国立映画アーカイブをはじめとした世界約60のフィルムアーカイブがそれぞれオンライン上で配信している映像コレクションをまとめた、国際フィルムアーカイブ連盟(FIAF)のポータルサイト。各映像コレクションの特設サイトや公式Youtubeなどに手軽にアクセスすることができ、パブリックドメインになった劇映画から記録映像まで、貴重な視聴覚資料の数々を無料で視聴することができる。
その一例としては、フランスのジョルジュ・ポンピドゥー国立芸術文化センターの特設ページ「ミュージアムシネマ」。こちらでは現在、毎週水曜15時更新でなかなか鑑賞機会のない前衛的な実験映画やアート映画を毎週1本無料で配信中。また、オランダのアムステルダムにあるEYE映画博物館の公式YouTubeでは「ジャン・デスメット・コレクション」の900作品のうち400作品弱の無声映画が公開されている。
さらに韓国映像資料院が7年前からスタートさせた公式YouTube「コリアン・クラシック・フィルム」では、40年代から現代に至るまでの韓国映画史に残る約200作品を無料で鑑賞することができる。ほぼすべての作品に英語字幕が付いており、なかには日本語字幕があるものも。韓国映画初のアカデミー賞作品賞受賞作となった『パラサイト 半地下の家族』(公開中)で韓国映画に興味を持った人は、是非ともチェックしてほしい。
そして日本の国立映画アーカイブのオンラインサービスでも、現存する日本最古のアニメーション作品『なまくら刀』(1917)など日本のアニメーションの黎明期に作られた作品の数々が視聴できる「日本アニメーション映画クラシックス」や、現存する最古の日本映画『紅葉狩』(1899)など明治時代に撮影された映像から日本映画のルーツを辿る「映像でみる明治の日本」で、貴重な作品の数々が公開されている。
他にも各国の映像コレクションを探っていけば、映画の誕生から125年の歴史のなかで撮影されてきた世界各地の文化や戦争の歴史などの記録映像、さらには早逝した大スター、ジェームズ・ディーンが出演した50年代のテレビドラマなどを見つけることができる。映画研究の一環としても家庭で過ごす子どもたちの歴史の勉強にも役立つこと間違いなしの映像資料の数々を、この機会に目撃してみてはいかがだろうか。
文/久保田 和馬
Topics「国際フィルムアーカイブ連盟(FIAF)加盟機関が配信する動画サイトのご案内」
https://www.nfaj.go.jp/ge/topics/20200416/