笹野高史、ダスティン・ホフマンと同じ役を続投に「光栄です!」
ジャイアント・パンダのポーと仲間たちの活躍を描く人気CGアニメの続編『カンフー・パンダ2』(8月19日公開)が今度は3D映画として登場。前作から続投して、ポーの師匠・シーフー老師の日本語吹替版の声を当てた笹野高史にインタビュー! 存在感あふれる名脇役として知られる笹野が、声の演技の奥深さや、続編の見どころを教えてくれた。
笹野はもちろん、笹野一家も『カンフー・パンダ』(08)が大好きだったそうで、「2でも声優をやることになった時、みんなが歓声を上げました」と言う。前作『カンフー・パンダ』はポーが“龍の戦士”になるまでの成長物語がメインだったが、本作では彼の出生の秘密が明かされ、感動の親子愛のドラマが繰り広げられる。笹野は本作について、「いつだって親子の物語はたまりませんね。結婚する前は自分の親に対する気持ちに、自分が親になったら親の気持ちになるし。やっぱり泣いちゃいますよ」と、笑顔で語った。
字幕版のシーフー老師役は、アカデミー賞俳優のダスティン・ホフマンが声を当てているが、そこはとても意識していると話す。「そりゃ光栄ですよ。文句なしに嬉しゅうございました。1で初めてアフレコをやった時、あんなに小さいのに、こんな立派な声を持つマスターだったのか!とびっくりしたし、責任も感じました。アフレコ時に彼の声を実際に聞くことができるんです。消すこともできますが、僕はそれを聞かせてもらってからやります。その声を聞くと、シーフー老師の精神状態や気持ちがわかりますから、とても参考になりました」。
図体のでかいポーと、小さなシーフー老師との師弟関係が実にユニークだ。「アニメってずるいよ」と笹野は言う。「あんなこと、実写じゃできないんだもん。夢があるし、本当にイメージが豊かですね。動物たちの細かい毛並みが風にふわってそよいだりするところまで表現できるから、ワクワクします。俳優は叶わないですね。でも、実際の芝居でも参考になります。筋肉の使い方とか、表情をよくとらえているので」。
俳優としての演技と、声優としての演技の違いについてはこう語った。「声の温度と芝居の温度の度合いが難しいですね。声優さんたちはそこを上手に使い分けてらっしゃる。例えば、ものすごく動きが早い時、逆に冷静に言った方が実感がこもることもあるし。演技の幅は、むしろ声だけの方が大きいかもしれない。だって、動きをやってくれてる人が既にいるわけだから。実際に自分で体を使ってる方が、動きが限られるし」。
声優を務めたことで、俳優としての演技の幅も広がりましたか?と尋ねると「僕はそう信じてます」と答えてくれた。「子供に連れられて、お客さんとしてもよくアニメは見てましたし、昔は『トムとジェリー』とかもよく見てました。芝居をする時、キャラクターのあり方がとても参考になるんです。たとえば、アンジェリーナ・ジョリー扮するタイガーとか脇役のバランスもすごく良くて、キャラがちゃんと立ってるし。隅々まで楽しめますね」。名脇役として名を馳せる笹野をうならせるのだから、このシリーズは大したものだ。
最後に、『カンフー・パンダ2』の見どころについて語ってもらった。「ポーの子供時代がどんなだったか。赤ちゃん時代のポー、可愛いよね。ずるいよ。ポーの赤ちゃんってもっと憎たらしいヤツだったら良かったのに(笑)」。確かに、赤ちゃんパンダの愛くるしさは特筆すべき点で、だからこそそれに続く親子愛がよりドラマティックに琴線に響く。アクションもドラマもよりいっそうパワーアップした『カンフー・パンダ2』は大いに期待してよし!【取材・文/山崎伸子】