満島ひかりが清水監督にハリウッド映画出演のラブコール
『呪怨』(03)の清水崇監督による最新ホラー映画『ラビット・ホラー3D』が公開初日を迎え、主演を務めた満島ひかりが、共演の澁谷武尊と共に舞台挨拶を行った。上映後の登場だったこともあり、映画の撮影裏話や撮影の合間のエピソードについて、和気あいあいとトークを繰り広げた。
失声症のキリコ(満島ひかり)の弟・大悟(澁谷武尊)が、ある日、学校で飼育されていたウサギを叩き殺してしまう。その晩、大悟は失踪。だが、キリコの父・公平(香川照之)はそのことに触れず無口になってしまう。キリコは家の押し入れの中に何かが存在していることを感じ、押入れの扉を開けるのだが。
ホラーが大の苦手の満島。本作への主演を決めた理由については、「ホラー映画でしか描けないファンタジー要素が詰まった作品だなと思って出演を決めました」と話した。実際の撮影は、世界的なカメラマンのクリストファー・ドイルの存在によって、これまでとは違った撮影現場となった。満島は「混乱した現場でした。クリスは感覚的に撮影をする人で、台本通りに進んだシーンは一つもなかった。演じる私たちも感覚を研ぎ澄ませていなかればいけないと思っていました。最初、試写を見に行く時は『もしかして面白くないものになっているんじゃないかな?』ってものすごく不安でしたが、実際に見たら『こんなに美しい映画に仕上がったんだ!』と、とても感動しました」と作品の仕上がりに満足した表情を見せた。
満島の弟・大悟役を務めた澁谷武尊も、「最初、台本で読んでいた話とは違いましたが、それでも良い映画になっていたので良かったと思います」としっかりコメント。「撮っている時はあんまり怖いとは思わなかったけど、でき上がった映画は、自分が引きづり込まれたりするシーンは怖かったです」と映画の感想を話した。
そんな澁谷について、満島は「武尊くんのことはそばで見てたけど、すごく頑張っていました。子供とか大人とか関係なく、本当に素敵な人。武尊くんは監督が『よーい、スタート!』って言う時に、なぜか息が漏れて『もう駄目かもしれないけど、やる』みたいな感じで、それが一緒にやっていて力になりました』とお気に入りの様子。撮影の合間の過ごした方について質問されると、満島は「『股間にバラが咲いていると思って挨拶してみよう』とか『胸にナイフを隠した人のふりして通り過ぎよう』っていう気持ちの遊びをしていました」と俳優ならではの演技を交えた遊びで楽しい時間を過ごしていたようだ。また、「一度、ウサギから追われるシーンの撮影で、チャックが開いてることがあって(笑)、ね?」という満島に、「うん」と答える澁谷。本当の姉弟のように息が合った掛け合いだった。
本作のメガホンを取った清水崇監督は、現在ハリウッドで新作の撮影中のため舞台挨拶を欠席。満島は監督について、「今回はオールアフレコで、私は失言症の役でしたが、息遣いも全てアフレコでした。私は清水監督は音の天才だと思っています。監督はあんな風貌でホラー映画をいっぱい撮ってる人だけど、家族の話をする時にものすごく優しい顔をする。ハリウッドでご一緒したいですね」とラブコールを送った。
最後に満島は、「様々な感覚で見られる映画。ホラー映画ですが、静かにゆっくりと自分の精神に迷い込んでいくお話です。いろんな人の童心に届けば良いなと思います」と挨拶した。みずみずしい映像と、かつてない超立体的3D映像が魅力の本作。是非、劇場でその驚愕の映像世界に足を踏み入れてみてほしい。【取材・文/鈴木菜保美】