阿部寛主演作『カラスの親指』で石原さとみとの共演シーンの現場を直撃!

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阿部寛主演作『カラスの親指』で石原さとみとの共演シーンの現場を直撃!

直木賞作家・道尾秀介の同名小説を、阿部寛主演で映画化した『カラスの親指』(2012年秋公開) が遂にクランクアップ。本作で阿部寛は、詐欺師を生業とする武沢竹夫役に扮した。共演に石原さとみ、能年玲奈、小柳友、村上ショージら魅惑的なキャストを迎えた本作。9月某日、阿部と石原の共演シーンがある日活スタジオでの撮影現場を直撃した。

詐欺師のタケこと武沢竹夫(阿部寛)と、テツこと入川鉄巳(村上ショージ)。ある日、彼らのところに、美人姉妹のやひろ(石原さとみ)とまひろ(能年玲奈)、まひろの恋人(貫太郎)の3人が転がり込んできて、5人の奇妙な生活が始まる。メガホンをとった伊藤匡史は、阿部について「恐らく、私が20年間で出会った役者さんの中でも、最もストイックに役者という仕事に打ち込んでいる希有な方だと思いました。やり方はあくまで冷静に役を見つめ、客観的に作り上げていく方法に見えます」と印象を語った。

この日は、朝の洗面所で阿部扮するテツと石原扮するやひろが会話を交わすシーンだった。テツには、生き別れの娘がいるという設定のため、阿部は今回タケ役にさりげなく父性をにじませる。まひろは、花柄パンツと黄色いTシャツ姿で登場。テツは、昨夜まひろが自分の部屋に来たことに対して、姉のやひろに抗議をするが、彼女は「妹はファザコンだから」と、全く気にしない様子。このシーンは、いろんなやりとりを重ね、何度も何度もテークを重ねた。

阿部は伊藤監督について、「妥協しない監督」と敬意を込めてこう語った。「妥協しない人って周りからの風当たりはすごく強いだろうけど。僕なんかは伊藤監督みたいな監督だと“守ってもらってる”ことになるんです。“あ、今のもう1回やりたいな”と思った時、特に若い役者が『もう一回やりたい』って言うと、わがままに見られる。でも監督が言う分には、助かるので。だから今回、役者はすごく守ってもらったと思います」。伊藤監督は、阿部の粘り強さを強調する。「どこまでも手を抜かないので、僕もヘトヘトでした(笑)」と言いながらも、「阿部さんは何度も繰り返していく中で、確実にどんどん精度を上げていってくれる。そして最後、OKになった時は、阿部さん自身も満足したような表情をしてくださったりするんです」と、阿部への信頼度の高さを語った。

阿部は、石原についても「いろんな役ができる女優さん」と絶賛。「ついこの前、NHKの『坂の上の雲』で一緒だった時、昔の古風で繊細な女性をやってたんだけど、それが今回は全く違いますから。最初は別人なんじゃないかなと思うくらいでした。ものすごく器用だし、役幅が広いですよね」。超マイペースなやひろ役を演じる石原だが、現場では彼女が考えるやひろらしいスキンケアのやり方や、使っているだろう化粧品についてもスタッフと相談しながら、念入りに役作りをしている姿が印象的だった。

阿部、石原の他、チャーミングなまひろ役の能年玲奈や、髪を坊主頭にし、体重を10kg増量して役作りをした小柳友、味のある中年詐欺師の村上ショージなど、それぞれの個性がぶつかり合う点も見応えがある『カラスの親指』。詐欺師の話だけに、二転三転する先の読めない本作だが、最後の最後に、気持ち良い感動が待ち受けているので、映画の完成を乞うご期待!【取材・文/山崎伸子】

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