アカデミー賞作品賞最有力候補! 超ロマンティックなモノクロ映画『The Artist』のキャストがニューヨーク映画祭に結集

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アカデミー賞作品賞最有力候補! 超ロマンティックなモノクロ映画『The Artist』のキャストがニューヨーク映画祭に結集

カンヌ国際映画祭に出品され、主役のジャン・デュジャルダンが主演男優賞を受賞した白黒映画『The Artist』(全米11月23日公開)がニューヨーク映画祭で上映され、フランス人監督のミシェル・アザナヴィシウス、主演のフランス人俳優ジャン・デュジャルダン、アルゼンチン出身のフランス人女優のベレニス・ベジョ、ペネロープ・アン・ミラー、ベス・グラント、ジョン・グッドマンが記者会見に登壇した。

本作の舞台は1927年のハリウッド。サイレント映画のスター、ジョージ・バレンタインが、トーキー映画の時代に取り残されて失望していく様と、トーキー映画の新人女優ぺピー・ミラーとの出会いによって、新たな映画の時代へと踏み出すまでを、実にロマンティックかつ魅力的に作り上げた作品だ。全編モノクロのでほぼセリフがないに等しく、まさに懐かしの白黒映画だ。作品の完成度の高さと、アカデミー賞作品賞最有力候補の1つと言われているため、メディアの関心も高かったが、その期待に見事に応え、試写後には会場に大きな拍手が沸き起こった。

脚本も手がけたミシェル監督は、「撮影中は何らかの色を使うことも考えたのですが、結果的に白黒が良いという結論に達しました。今、1920年代に流行したモノクロのサイレント映画を作るというのはとてもリスクの高いものでしたが、昔古かったものも、今の若い人たちにとっては新しいですよね。いろんなキャラクターを一緒に作り上げていき、それを観客と共有する映画を作りたいとかねがね思っていて、この作品が完成しました。この映画は1920年代のサイエンス映画へのオマージュ、というわけではなくて、1920年代から1950年代までの、たとえば『市民ケーン』(41)などたくさんの映画にオマージュを捧げた作品なんです。ジョージと妻の食卓の花にもこだわりがありますし、音楽も含めて、皆さんが知らないような映画からも、実にたくさんのアイデアをもらっていて、自分が映画を作り始めた原点を思い出させてくれました」と、自信をのぞかせた。

また同作の見どころの一つとなっている、ジョージと苦楽を共にする忠犬アギーについても、「1930年代に大流行した少年と犬が世界を駆け巡る物語を描いた漫画『タンタンの冒険旅行』などから影響を受けているという。口パクと字幕以外では、顔の表情と身体の動きだけで感情を表現するという実に難しい演技にチャレンジしたジャンは役作りのためにしたことを尋ねられると、「『名犬ラッシー 家路』を読んだくらいかな(笑)。(僕の演技ではなく)犬のおかげで、皆が感動してくれるんだよ」と、いかにもコメディ俳優らしいジョークで会場を笑わせた。ジョージが見せる、驚くほど豊かな顔の表情ととびっきりの笑顔については、「自分の人生には良い時と悪い時があるので、それを表現しただけです。でもタップダンスは、経験がなかったので6週間、毎日みっちり練習した」そうだ。

実生活では監督の妻で、フランスで活躍するベレニスは、ハリウッドの女優ペピーを実に生き生きと演じているが、「私はアルゼンチン生まれでフランスに住んでいる女優です。アメリカ人の女優さんとは全然違うので、まず彼女たちがどういうものか、立ち居振る舞いから勉強しました。たくさん映画を見たりしましたが、役作りで特に影響を受けたのは、若い頃のジョーン・クロフォードです。彼女の踊りは最高で本当に愛らしくて可愛かったので、インターネットで何千回も見ました。それとマレーネ・ディートリッヒですね。彼女には、何もしなくてもそこにいるだけで緊張感漂う独特な雰囲気があるんです。動きがとてもゆっくりで、ウィンクとか口笛の吹き方とか、何度もグーグルで研究しました。後はタップダンスの練習です。経験がなかったので、タップダンスだけではなく、ダンスのレッスンも取って練習しましたが、本番では、みんなの目が足にいかないようにとにかく頑張って笑顔で演じました(笑)。フランスでは、女優は演技以外のダンスなどはあまり要求されないので、こういう機会を与えられたことは私にとっては素晴らしい贈り物だと思っています。6ヶ月間、ハリウッド女優に浸りきりました」と嬉しそうに語ってくれた。

古き良き時代のハリウッドの世界を味わいながら、過去の名作を彷彿とさせる音楽、映像に至るまで、宝探し的な楽しみも味わえる珠玉の一作。現時点では、アカデミー賞作品賞、監督賞、主演男優賞、助演女優賞、脚本賞と多分野でのノミネートが有力視されている。【取材・文NY在住/JUNKO】

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