豪華俳優陣を集められたのは人徳のおかげ? 三谷幸喜がニューヨークでアメリカンジョーク
『ザ・マジックアワー』(08)以来、3年ぶりとなる三谷幸喜監督・脚本作『ステキな金縛り』(10月29日公開)が日本公開に先駆け、現地時間10月19日にニューヨークプレミア上映を行った。同イベントには三谷監督をはじめ、主演の深津絵里、深津の恋人役を演じたTKO木下隆行が出席した。
ニューヨークといえば、三谷監督が敬愛するビリー・ワイルダー監督の『アパートの鍵貸します』(60)や『七年目の浮気』(55)などの舞台になった場所でもあり、映画だけでなく、舞台などエンタテインメントの聖地としても名高い場所だ。これまで三谷監督作品はデビュー作の『ラヂオの時間』(97)がニューヨークでも興行され、2009年11月には舞台「TALK LIKE SINGING」を日本のオリジナルミュージカルとして史上初めてオフ・ブロードウェイで初演を果たしたことも記憶に新しい。
昨年、『悪人』(10)でモントリオール世界映画祭最優秀女優賞を受賞した深津絵里が、今度は『悪人』から一転、そのコメディエンヌぶりを本作でニューヨーカーに披露。舞台挨拶では、それぞれ英語でスピーチし、三谷監督は「皆さん、僕の英語が理解できますか? 僕は自分が何を言っているのかわかりません」と三谷流のスピーチで映画同様、場内を沸かせた。深津は三谷監督の台本通りに「子供の頃からアメリカ映画が大好きでした。女優になろうと思ったきっかけの映画は『猿の惑星』です」と三谷ジョークを飛ばす。木下も三谷監督の考えたアメリカンジョークを披露。しかし、場内は大して沸かず、「アメリカ人でもすべるんだ」と漏らし、それに対して三谷監督は「ニューヨークの方がすべっているわけでなく、ニューヨークでもすべっているんです」と説明した。観客からは質問が寄せられ、「これだけのキャストを集めるのは大変だったのでは?」との質問に、三谷監督は「僕の人徳のおかげです」と、ここでも笑いを飛ばしていた。
今回、試写会場となったアカデミーシアターは、アメリカの名匠マーティン・スコセッシ監督に「この劇場でなければ自身の作品の上映会を開催したくない」と言わしめるほどの施設、設備が充実した劇場だ。劇場のロビーには、オスカー像のモチーフがあり、三谷監督は「いつかは(米国アカデミー賞に)ノミネートされたいと思っています。日本人もこんなに楽しい笑いがあるのを伝えたい。世界へ向けて日本のコメディを伝えていきたいです」と目標を語った。【Movie Walker】