『運命の子』のチェン・カイコー監督は親日家!「SMAPの北京公演に行った」
『さらば、わが愛覇王別姫』(93)のチェン・カイコー監督が、監督最新作『運命の子』(12月23日公開)で来日し、11月4日にザ・ペニンシュラ東京で記者会見を開催。親日家であるカイコー監督は、1984年に初めて日本を訪れて以来、100回以上も来日しているという。SMAPの北京公演にも行ったという監督は、今の日中関係についても熱く語ってくれた。
『運命の子』は、中国の歴史書・司馬遷の「史記」の中の「趙氏孤児」を初めて映画化したという野心作だ。本作では、生まれた日に一族全員が殺された孤児と、彼の命をつないでいく人々の愛と確執を丁寧に描き出した。カイコー監督は、本作を映画化した理由をこう語った。「この30年間で中国経済は大変発展しました。でも、文化面はどうなのか、若い人たちが中国の歴史をどこまで理解しているのか? だから今回、本作を手がけることにしました」。
今年、東京国際映画祭で審査委員を務めたファン・ビンビンは、本作で悲劇のヒロイン・荘姫役を演じているが、彼女を映画に起用したのは初めてだったという。「荘姫は特別な女性。彼女には『力一杯ではなく、静かに演じてください』と言いました。私は長い間、映画を撮ってきましたが、近年、静かな演技にこそ、人に訴える力があると思っているので」。
また、カイコー監督は会見の最後に、日中友好への思いも語ってくれた。「日本と中国は歴史的にも密接な関係があります。だから、日本で震災が起こった時は驚いたし、災難に遭っても冷静さを失わなかった日本の方々に深く感動しました。また、北京在住の日本人がその後、次々に国の一大事だからと帰っていったことにも感動しました。私は中日友好を熱く支持する者です。SMAPが北京でコンサートをした時も行きましたし。今の中国と日本の関係は、100年前ほど密接ではないけど、映画を通して理解し合うことが大事だと思います」。
チェン・カイコー監督作は日本でも人気が高いし、今回も親日ぶりをたっぷりとアピールしたカイコー監督。本作は、現在設備改修工事のため休館中の渋谷のBunkamuraル・シネマのリニューアルオープニングの記念作品でもあるので、大いに期待したい。【取材・文/山崎伸子】