ガンを笑い飛ばす異色コメディが大人気!劇中のガン患者のMRIは本物だった

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ガンを笑い飛ばす異色コメディが大人気!劇中のガン患者のMRIは本物だった

生存率50%のガンを宣告された青年が主人公の『50/50 フィフティフィフティ』(公開中)は、これまでの難病ものとは違い、ガンを笑い飛ばそうという前代未聞の闘病コメディだ。脚本を手掛けたウィル・レイサー自身がガンを克服した経験の持ち主ということで、この映画のエピソードは実にリアル。しかも、何と劇中では自身のMRIやCRTスキャン画像も使用されていると聞いてびっくり!

27歳という若さでガン告知を受ける主人公アダム役に扮するのは『(500)日のサマー』(09)で注目されたジョゼフ・ゴードン=レヴィット、そして彼の友人カイル役には『40歳の童貞男』(05)のセス・ローゲン。このふたりの凸凹コンビが最高だ。カイルはアダムに、病気をネタにしたナンパを勧めたりする無神経な悪友だが、実はアダムのことを誰よりもわかっている無二の親友である。本作でプロデューサーも務めているセスは、実際にレイサーの友人でもあるので、彼の経験談も脚本に活かされていると聞いて納得。

さらに、本作がリアルなのは、実際にレイサーたちがシアトルのガンセンターで化学療法や放射線治療を見学し、患者たちにも話を聞いたからだ。劇中でアダムが老人たちと交わす会話もウィットに飛んでいて、実に味わい深い。よくありがちなシリアスでげんなりとした病人たちよりも、彼らの方がずっと人間くさくて共感が持てる。

レイサーは「この映画によって、人々がガンの体験を恐れることなく語れるようになってほしい。病気の不合理さを笑い飛ばしても良いんじゃないか」と語っているが、彼自身がガンの経験者だけに、はるかに説得力がある。そして、ガンになって人生に向き合ったからこそ、本当に大切なものが見えてくるという着地点も、多くの人の琴線に触れるのだ。何とも懐の深い難病コメディは是非劇場で堪能してもらいたい。【文/山崎伸子】

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