メリル・ストリープが40歳で女優引退を考えたその理由は?
先日発表された第69回ゴールデングローブ賞では、イギリス史上初の女性英国首相マーガレット・サッチャーの生き様を描いた『マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙』(2012年3月16日公開)で26回目のゴールデングローブ賞ノミネーションを果たし、テレビ部門を入れると7回の受賞歴があるメリル・ストリープだが、40歳になった時、女優を辞める覚悟を決めていたというから驚きだ。
かねてからハリウッドの若者志向を憂えているメリルは、1月号の米ヴォーグ誌インタビューで、サッチャーが身を置いていた政治の世界について、「完全に男性社会よね。630人中、女性はたったの16、7人なのだから。世界はだいぶ変わってきたけれど、一方で変わってほしくないと感じている人たちも大勢いて、その圧力を感じるわ」と、自身が身を置くハリウッドの世界と重ね合わせ、「40歳になった時、魔女みたいな役のオファーが立て続けに3回も来て、私のキャリアは終わったって思ったの。夫に宣言したくらいよ。特にハリウッドでは、女性がある程度年を取ると、キャリアなんて関係なく、グロテスクな存在になってしまって、良いことはないみたいだから」と語っている。
傍から見れば、アカデミー賞に16回もノミネートされ、既にギネス入りを果たしているメリルにスランプは感じられないが、確かに1989年に40歳を迎えたメリルのキャリアを見てみると、アカデミー賞にノミネートされる感覚が5年も空いたのは、『ハリウッドにくちづけ』(90)から『マディソン郡の橋』(95)のみだ。
“魔の40歳”とも言うべき時期を見事にクリアしたメリルは、その後はノミネーションの間隔が最高でも4年しかあいておらず、62歳の現在もキャリアは絶好調といえる。『マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙』でもアカデミー賞の呼び声が高いが、立場が違えど、フロントランナーであり続けるものの苦悩が、そのまま今作での演技に反映されているのかもしれない。【NY在住/JUNKO】