オードリーのラジオが映画に。「自分たちができることは漫才」改めて感じる“笑いの力”

インタビュー

オードリーのラジオが映画に。「自分たちができることは漫才」改めて感じる“笑いの力”

ニッポン放送がクリスマスイブに24時間のチャリティ生放送を行っているラジオ番組「ラジオ・チャリティ・ミュージックソン」。目の不自由な人のために音が鳴る信号機を設置しようという主旨で行われ、既に37年の歴史を数えている。2010年にメインパーソナリティを務めたのは人気お笑いコンビのオードリー。その模様がドキュメンタリー映画『ミュージックソンTHE MOVIE オードリーの爆笑24時間宣言』となって1月14日(土)より公開! オードリーのふたりに話を聞いた。

毎週、オールナイトニッポンも担当するオードリー。ラジオはふたりにとってどんな存在なのだろう。若林正恭は「テレビで滑ったこととか、その週にあったことを全部消化できる場所で、基地、空母みたいな場所(笑)。タモリさんとご飯に行ったとか、内村さんとコントをやったとか、ずっと春日みたいな部屋に住んでいたふたりが急にそういう状況になっちゃったんで、ラジオの放送でしゃべることでバランスがとれている。客観視できるんです」とラジオ愛を告白。

“春日みたいな部屋”というのは、相方の春日俊彰がブレイク前から住み続けている風呂なしアパート「むつみ荘」。ミュージックソンでは、一室を丸ごとトラックの荷台に乗せ、都内を走り回るという企画が始動した。春日は「部屋の中を見られるのは抵抗がないんですが、都内を走り回るというのは、『むつみ荘』がまた1つ上のステージに上がったなっていう感じ」とコメント。まだ引っ越す気持ちはないのかを尋ねると、「一昨日更新をしたばかり。だからまだ引っ越す気はございません(笑)!」と。

豪華ゲストが続々と登場する中、深夜の1時という時間帯にゲストに呼んだのは、ふたりが不遇時代に漫才を披露していたショーパブのメンバーだ。なかでもビートたけしのものまねで知られるビトタケシは、春日いわく「自分の田舎的な存在」。芸人を辞めようと思った時には、「死んでも辞めんじゃねえぞ」と声をかけられ、励みにしたという。若林も「ビトさんはずっと昔から、毎回僕らのライブを見てくれて、しょっちゅう面白いって言ってくれて。本物のたけしさんと初めてご飯を食べに行った時、ビトさんに言ったんです。『本物に会ったんで、ビトさんはもういいです』って(笑)。『お前、ふざけんじゃねーぞ』って言われましたけど」と、大好きな先輩・ビトとのエピソードを何とも嬉しそうに語ってくれた。

同じように印象に残ったゲストはお笑いコンビのナイツ。若林は「ゲストの皆さんの本気を感じて、パワーをもらいました。映画として見た中では、ナイツがすごく印象に残っていて。彼らとはライブでずっと一緒だったし、年齢も近くて、同期で。マシンガンズやハマカーンが来てくれて、どきどきキャンプが移動中継車に乗ってくれた。そうやって仲間でやれたというのは、やっぱりラジオの力なんだと思います。不特定多数の人が見るテレビではそんなこと自体をやらせてもらえないですから」。彼らの原点ともいうべき、ショーパブやライブの仲間に支えられて作り上げたミュージックソン。ふざけた中からも、愛と温かさのあふれる内容に是非注目してほしい。

また、今回のメインテーマは「胸をはって笑おー!」。東日本大震災の後、改めて笑いの力を実感したというふたり。震災から一週間後のオールナイトニッポンでは新作漫才を披露した。春日が「不器用な男ですから。もどかしさもありますけれど、自分ができることをやるとしたら、漫才だった」と言うと、若林は「まあ、春日は漫才をやることを一番最後に知ったんですけどね」と突っ込みを。続けて「命自体が危機になる災害を感じるのが初めての経験。そんな中、何ができるんだろうと考えていた時に、被災地にいるオードリーのリスナーの方から、『日常を感じたい、温かい場所で馬鹿話が聞きたい』っていうメールがたくさん来たんです。被災地の状況や励ましのメッセージは、他の番組でもやっている。だから、あえてオードリーを聞きたい人には、漫才が良いんじゃないかって」。

春日は「でも、春日がノーって言ったら、できなかったですからね。春日が決めたといっても過言ではないですよ!」とすかさずコメント。キャラクター性の春日とセンス抜群の突っ込みを入れる若林。オードリーの実力と笑いに対する姿勢は本物だ。まずは年初めに、彼らの素顔と原点が感じられる本作で、是非ともその魅力を確かめてほしい。【取材・文/成田おり枝】

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