原田知世と夫婦役を演じた大泉洋、未使用の撮影カットに「ありがたい」
原田知世と大泉洋が夫婦役で共演する『しあわせのパン』(北海道1月21日先行公開、1月28日全国公開)。東京から北海道に移り住み、パン屋を営む夫婦の姿を温かいタッチで描き出す本作の試写会が都内で開催され、原田と大泉が三島有紀子監督と共に舞台挨拶を行った。映画にちなみ、夫婦に関する温かいトークを繰り広げた。
今回、夫婦役を演じた原田と大泉。監督はふたりに「実は秘密にしていたことがあるんです」と話し出した。「おふたりに言ってなかったんですが、わざと1カット使わないカットの撮影をしました。最初の方に手と手の触れ合うカットがあったと思うんですが、あのカット、使ってないんです」と告白。夫婦としての表情を引き出すための「身体的接触を持ってほしくて」という演出だったようで、それを聞いた大泉は「あれ、使ってないんですか? ありがとうございます。監督から言ってもらわないと、僕からは触れませんから。そういうこと、してもらえるとありがたいですね」とコメント。すると監督は「でも『いい加減、そんなに近くにいなくても良いのに』ということもありました」と、原田に近づいていた大泉の撮影中の様子を暴露し、会場から笑いが起こった。
全編にわたって北海道でのロケが行われた本作。監督が「夜空に輝く月のようで、みんなを優しく照らしてくれる人」と話す原田知世は、「月がものすごく美しくて、ある日、湖面に映った月明かりが真っ白な道のように見えて、とても幻想的で、今まで見た月の中で一番綺麗でした。お芝居につなげることができました」と話し、北海道の月が原田の役作りに重要な役割を果たしていたようだ。
一方の大泉は、「僕が演じた水縞くんは優しくて、これだけ愛せる奥さんがいることは幸せだけど、りえさんという奥さんは、どこか心に鍵をかけているところがあって、自分の奥さんがりえさんのような寂しい表情を浮かべていたら辛いなあ。そうなったら優しく見守るしかないのかもしれないですね」と私生活での夫としての表情を見せた。すると原田は「どの夫婦も同じということはない。自分たちらしい距離感や世界観を、お互いを思いやりを持って積み重ねていくことが大事なんだろうなと思います」と自らの夫婦観を語った。
また、イベント後半には、劇中でパン屋に訪れる客の未久を演じた八木優希が登場。八木優希といえば、2008年に放送されたドラマ「薔薇のない花屋」の雫役で脚光を浴びた天才子役。現在11歳と、すっかり大きく成長した八木に、会場から驚きの声が上がるなか、八木は「大泉さんは普段から面白いことをいっぱい言ってくれて、泊まっていたホテルの近くの美味しいお店を教えてくれたり、撮影中も美味しいものを差し入れしてくれたりしました」と話した。大泉は「子供相手に食べ物の話しかしてないのか、僕は」と苦笑いしながら、「一緒に四つ葉のクローバー探したりしたね」と八木とのエピソードを付け加えた。
最後に、監督は「今日で阪神大震災から17年目を迎えます。この映画で日常の一つ、一つがいかに大事かということを感じ取ってもらいたい」と作品に込めた思いを語った。原田は「自分にとって大切なものってなんだろうかな?とか、映画を見たらいろんなことを考えてもらえると思います」と話し、八木が「前は『いろんなものがほしい』って言ってたけど、この映画を見たら、そんなにいろんなものはいらないから、家族が一緒にいられるだけで幸せだなと思いました」と素晴らしいコメントを! すると大泉は「昨日『新しい冷蔵庫ほしい』って話したばかりだけど、買うのやめます!」と宣言し、会場は笑いに包まれ、映画同様、温もりにあふれた舞台挨拶を締めくくった。【取材・文/鈴木菜保美】