新垣結衣の心をも虜にした『麒麟の翼』加賀刑事の魅力とは?
東野圭吾原作の人気シリーズを映画化した『麒麟の翼 劇場版・新参者』。1月28日(土)の公開を前に、ヒット祈願も兼ねて名古屋の大須観音を主演の阿部寛と共に訪れた新垣結衣を直撃! 「ミステリーは初挑戦」という彼女に作品の魅力を語ってもらった。
本作は、東京・日本橋で起きた殺人事件の謎に加賀恭一郎(阿部寛)が挑むミステリー。翼のある麒麟像の下で発見された刺殺体を巡る謎が、加賀刑事によって解き明かされていく。ミステリーでありながら、深い人間関係を描き出したヒューマンドラマでもある。
新垣は、刺殺事件の容疑者・八島冬樹(三浦貴大)の恋人に扮し、意識不明の彼に代わって無実を訴える。「私が演じた中原香織は、完璧な女性でも弱すぎる女性でもなく、恋人と支え合いながら暮らしている、ごくごく普通の女性なんですね。恋人が殺人事件の容疑をかけられたまま意識不明になってしまうので、全篇を通して辛い心情が続きました。気付けば、恋人である冬樹くんのことを思い浮かべているような撮影でした」と明かした。
実際、現場で生まれた(彼女曰く、生っぽい)リアルな感情を大事にした彼女は、「撮影初日が、加賀刑事から事情聴取を受けるシーンだったんですけど、加賀さんを前にすると、あの目と口調なので意識しなくてもどんどん追い込まれて、だから自然と役に入り込んでいけたんです」と撮影を振り返る。先に放送されたテレビシリーズを見て、すっかり「新参者」の虜になってしまったという新垣に、加賀恭一郎の魅力を聞くと、「一見、寡黙ですごく冷静な刑事さんなので怖さも感じるんですけど、加賀さんは事件を解決するだけでなく、関わった人たちの心をも救おうとする。そういうところに魅力を感じますし、香織にとっても大事な人だったんじゃないかな」と教えてくれた。
阿部寛とはテレビドラマ「ドラゴン桜」以来、6年ぶりの共演となる。新垣は「前は1対1で目と目を合わせて対峙するシーンはなかったので、最初は不安で。でも、阿部さんとお芝居をしていると充実感がみなぎってくるんです。何か惹きつけられる引力があるみたいで(笑)。だから、クランクアップが近づくと『まだ終わりたくないなあ』って」と共演した感想を語ってくれた。
事件捜査を描く一方で、様々な家族のストーリーが語られる本作。家族だからこそ置いてしまう距離。素直に気持ちを伝えられないもどかしさは、多くの人の共感を呼ぶだろう。新垣演じる香織も、夢ばかり追いかけている冬樹に向かって「世の中、そんなに甘くない」という言葉を投げつけてしまう。「私は逆に、甘くなっても良いんじゃないかなって思う方なので、ちゃんと現実を見ている香織を見習わなきゃなって思いました。(この映画の登場人物たちみたいに)取り返しのつかないことってたくさんあるけど、相手の気持ちを受け取るだけで、人は強くなれるし、前を向いて進んで行くことができる。完成した映画を見て、『この映画に出演して幸せだなあ』って心から思いましたし、多くの人に見てほしいです」と、最後はしっかりアピールして締めくくった新垣。是非とも劇場でこの魅力を味わってもらいたい。【取材・文/大西愛】