ゴリ、長澤まさみとの取材で「初めて心の奥底が見えた」と感動
日本発のネイチャードキュメンタリー『日本列島 いきものたちの物語』(2月4日公開)で、ナビゲーターを務めた長澤まさみとゴリ(ガレッジセール)にインタビュー。30人の動物カメラマンが、日本全国30ヶ所でロケを敢行、ニホンザルからイノシシ、ヒグマ、カクレクマノミなど、様々な生き物の生態を追った本作について、ふたりが見どころや熱いメッセージを語ってくれた。
ゴリは「動物たちって裏がないんです」と感心する。「出世してやろうとか、俺だけが得したいとか、社交辞令とかいったところが全くない。だからこそ、絆に嘘がない。人間だと、『俺、お前のこと信じてるから』と言っても、嘘って場合があるじゃないですか。でも、動物の場合、全部が本当なんです。戦う時も、自分を格好良く見せたいからじゃなく、本当に戦うべきだからこそ戦うし、無駄な争いは絶対にしない。必要以外は無駄がない。ものすごくシンプルでピュアなんです」。
長澤も「粘菌はお互いに協力し合い、最後は子孫を残すために集中して、自分たちさえも栄養分にして、一部が生き残っていくんです。本能ってすごいですよね」と言うと、ゴリも「俺も、もっと本能で生きた方が良いなあと思いました」とうなずく。
長澤は、東日本大震災後の今、本作を見ていろんなこと考えたという。「震災後、私自身も人とのつながり方ってすごく変わり、もっと人との絆を大切にしようと思うようになりました。たとえそれが一方的なものであれ、お互いに共有できたものであれ、自分がどう人と向き合っていけるかってことを一番大切にしようと、今は思っています。動物は本能のままに生きているけど、きっと動物どうしも言葉を交わしているんじゃないかな。この映画を見て思ったのは、自分のことを知ってもらおうとした時、ちゃんと努力しないと、伝わらないんだなってことでした。それは、この映画でなくても、日々、人に見てもらう作品を作っている中で、感じざるを得ない状況にあるんだと思います」。
ゴリは、長澤の言葉をかみしめてこう続けた。「俺、今初めて長澤の心の奥底が見えた気がする。今までは天然の女優さんという印象しかなかったから。だって、ずっと一緒に取材してきたし、シンガポールのロケも一緒に行ったんですよ。そこで、マレーバクの白い模様を見て、『ブリーフ履いてるみたい』って言ってて(笑)。お笑い芸人にとっては、いじるオモチャにしか見えてなかったのに、今日は一切突っ込めないじゃない」。
長澤はそれを聞いて、「ゴリさんは、いつも人を笑わせる仕事をされてるからすごいなと思ってます。通じ合えないものはないっていうか、人って笑ってる時が一番相手を受け入れている瞬間なので」と、お笑い芸人としてのゴリを称える。ゴリは「俺は今日、長澤まさみの感受性の広さを初めて感じたよ」と感心するばかりだ。
最後に、ふたりはこう締めくくった。長澤が「日本にこんな素晴らしい場所があったのかってことをたくさん知ってほしいです」と言うと、ゴリは「監督も言っていましたが、日本には温かいところも寒いところも全部あるからすごいと思います」とアピール。ふたりの言う通り、映像で切り取られた美しい自然や、愛くるしく、時には切ない動物たちの絆は、私たちに様々なことを語りかけてくれる。この映画はまさに命の賛歌なのだ。【取材・文/山崎伸子】