『アーティスト』のもう一人(匹)の主役アギーが、アカデミー賞を最後に引退へ

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『アーティスト』のもう一人(匹)の主役アギーが、アカデミー賞を最後に引退へ

第84回アカデミー作品賞の最有力候補と言われている『アーティスト』(4月7日公開)で、主演男優賞にノミネートされているジャン・デュジャルダン扮するジョージの愛犬を演じたアギーが、現地時間2月26日(日)に開催されるアカデミー賞授賞式の出演を最後に、銀幕の世界から引退することがわかった。

1歳半から映画界で働き続けてきた雄のジャックラッセル・テリアのアギーは、昨年は『恋人たちのパレード』(11)、そして『アーティスト』(11)に出演し、『アーティスト』では主役のジャンに、「アギーがいたから、(各賞の)主演男優賞にノミネートされた」と言わせてしまうほど、愛らしく、またサイレント映画ゆえに人間同様に、その表情や仕草だけで、見るものに感動を与える名演技を披露している。第69回ゴールデングローブ賞で作品賞を受賞し、キャストやプロデューサーらと登壇した際や、受賞後の記者会見でもアギーは主役を食ってしまう勢いで、同作にはなくてはならない存在となっている。

となれば、当然次回作のオファーが殺到しているようだが、今年で10歳になるアギーは、人間にすると70歳を過ぎていることから、疲れ具合がひどくなってきてしまったようだ。「アギーにはのんびりした生活をさせてあげたい。少しは仕事をすると思いますが、映画など、体力を消耗する仕事は年齢的にも限界にきています」と、トレーナーがアギーの映画界引退を宣言した。

あまりの愛らしさと演技力に、愛犬家たちがアカデミー賞に対抗して映画やドラマで名演技を見せた犬に贈られるゴールデン・カラー賞を創設し、アギーは出演作2作でノミネートを果たしている。これについて、マーティン・スコセッシ監督がつい先日、アカデミー作品賞など最多11部門にノミネートされている『ヒューゴ』に出演しているブラッキーが、悪役ゆえにゴールデン・カラー賞にノミネートされてないことに異論を唱えて賛同者を募ったところ、無事ブラッキーもノミネートされた。しかし、今年の主役は間違いなくアギーで、栄えある第1回の受賞者(犬)になることは間違いないだろう。

アカデミー賞で『アーティスト』が作品賞を受賞すれば、アギーは映画界の最高峰であるアカデミー賞受賞作品の出演を最後に引退することになるわけで、アギーが最後に晴れの舞台に登壇できるのかにも大いに注目が集まる。今後、アギーの愛らしい演技を見ることができなくなるのは何とも寂しい話であり、晴れの舞台を経験したアギーが本当に役者を引退したいのかはわからないが、フィナーレを飾るには最高の舞台になることは間違いない。【NY在住/JUNKO】

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