ヘビ女の“ヘビメタ”バンド!? パンクでロックで奇妙すぎる中島らもの世界の魅力って?

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ヘビ女の“ヘビメタ”バンド!? パンクでロックで奇妙すぎる中島らもの世界の魅力って?

2004年に飲食店の階段から転落し、52歳の若さでこの世を去った中島らも。死後もなお彼の影響力は薄れることなく、昨年は彼が原作を務めた舞台が上演され、エッセイも文庫化。コピーライター、構成作家、小説家、劇作家、俳優、バンドマンなど、何者にも縛られない活動から繰り出される多様な作品の数々は、今も多くの人々に愛され、新たなファンを生み出し続けている。

関西の名門校・灘中学に8位の成績で合格したにも関わらず、在学中に酒、薬物、ロックに目覚め、エリート街道からドロップアウト。広告代理店勤務からコピーライターとなり、作家としてデビューした後も、アルコール依存症や躁鬱病に苛まれた。そんな彼の作品には、常識や既存の価値観にとらわれない突飛な発想や、人間が持つ間抜けさが絶妙なユーモアで表現されている。彼が残したエッセイ、小説、演劇、音楽は、芸能界や音楽界にもファンが多い。

そんな中島らもの小説を東京藝術大学大学院の学生たちが映像化した作品『らもトリップ』が2月25日より公開中だ。本作の注目点は、短編小説を映像化したフィクションパートと、生前の中島らもと交流のあった著名人へインタビューしたドキュメンタリーパートで構成されているところ。ドキュメンタリーパートは中野裕之が監督を務め、竹中直人、古田新太、大槻ケンヂらが中島らもとの秘蔵エピソードを披露しているのだが、第一線で活躍する著名人たちながらノーギャラで出演しているという。彼が現在もどれだけ愛されているかが、この映像からよく伝わってくるはずだ。

そしてフィクションパートでは、クローン人間をモチーフにしたコメディ「子羊ドリー」、吸血鬼に恋する男を描いた「微笑と唇のように結ばれて」、ヘビ女になってしまう姉妹の運命を綴った「クロウリング・キング・スネイク」といった3編の小説の映画化に学生たちが挑戦しているのだが、中島らもの独特な世界観が爆発! ヘビ女になっても開き直って“ヘビメタ”バンドを結成してしまう女だったり、自分の命と引き換えとなっても良いから自分の血を吸ってほしいとヴァンパイアの美女に懇願する男だったりと、登場する人々は全員どこかおかしい人々ばかりで、一筋縄ではいかない。

著名人をはじめ、多くの人々を惹きつけてやまない中島らもの世界の不思議な魅力に、是非どっぷりと浸ってみてほしい。【トライワークス】

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