衝撃作『ピラミッド 5000年の嘘』の監督、エジプトの学者たちに物申す!
「あなたの持つピラミッドに関する常識は全て覆される!」という挑発的なキャッチフレーズに心躍る映画『ピラミッド 5000年の嘘』(2月18日公開)。本作は、37年間にも渡るピラミッドの調査と研究を、6年間徹底検証した後、4年間撮影をしたという驚異の科学ドキュメンタリーだ。ピラミッドが実は四面体ではなく八面体だった! 建設期間が20年というのは不可能では?といった感じで、次から次へとピラミッドについての疑惑を検証していく本作。来日したパトリス・プーヤール監督に、気になる撮影秘話を聞いた。
本作でフィーチャーされるのは、クフ王の墓として知られるエジプト・ギザの大ピラミッドだ。ジャック・グリモーの研究結果について、エジプト考古学をはじめ、建築学、地質学、物理学、人類学、天文学など幅広い分野の専門家たちが持論をコメントしていく中、これまでの定説が次々に覆されていく。まずは監督に、本作を手掛けた動機から聞いてみた。「1999年に(原作者の)グリモーさんに初めて話を聞いた時、とても素晴らしく、意味のあるものだと感じたので、映画にしたいと思ったんです。そして、2007年から映画を撮り始め、撮り終わったのが2011年。彼と出会ってから10年以上もかかりました」。
監督が本作をドキュメンタリーにしようとした理由は2つある。「1つはどうしてピラミッドができたのか?ってことを理解したいという思い。もう1つは怒りです。初めてグリモーさんが私をエジプトに連れて行って見せてくれたものは、どんなエジプトの書物にも書かれていないものでした。それを見た時、エジプトの学者たちがこのような事実を隠していること、世間に見せないのは正直じゃないと思ったんです。しかもその事実は、彼らの仮説を全て否定するもので。私は真実を知りたかったし、この情報を世界中の人々に開示すべきだと思ったのです」。
長い期間、本作に携わり、新たな情報に惑わされることはなかったのだろうか? 「それは大丈夫でした。でも、2004年に初めて見たピラミッドの一番上の部分が、今度2007年にHDのカメラで撮影した時、形が変わっていたことには驚きました。ただ、他に専門家がもたらす新しい情報は、基本的にグリモーさんの仮説を補強するような情報が多かったのです。僕が映画を撮り始めた頃、ピラミッドは奴隷が作ったとまだ言われていましたが、それからしばらくして作ったのは労働者だと言われるようになったりもしました」。
多数の研究者たちのインタビュー映像も入った本作。実際、取材の過程で、エジプト学者たちから横槍などは入らなかったのだろうか? 「事実を突きつけられて、彼らは当然嫌だったと思います(苦笑)。しかも映画が公開され、事実が一般の人に知られることで、彼らは何らかの説明を求められることになると思うので。でも、それは良いことですよ。その時、彼らが映画に提示された事実を認め、自分の説を見直すってことにつながりかねないし」。
監督が本作で伝えたかったのは「自分たちで考える」ことだという。「専門家たちが誤魔化すような返事をした場合、『では、この事実はどうなんだ?』って突きつけていくことが大事だと思います。1つだけはっきり言えることは、今までピラミッドについて言われてきたことが嘘であること。いつ誰がどのようにピラミッドを作ったのかは全くわかりませんが、私はグリモーさんの説がたぶん正しいのではないかと思います」。
映画は、後半でイースター島からアンデスなど、世界の古代遺跡にまで言及し、色々な検証を経た末に究極の説を提示する。あなたはその説をどう受け止めるのか? それは劇場で見てのお楽しみだ。【取材・文/山崎伸子】