第84回アカデミー外国語映画賞は『別離』!イラン映画が初受賞
現地時間2月26日(日本時間27日)に開催中の第84回アカデミー賞授賞式。外国語映画賞を受賞したのは、第61回ベルリン国際映画祭で史上初の3冠を独占し、第69回ゴールデングローブ賞でも外国語映画賞を制した『別離』(4月7日公開)だ。アカデミー賞では、外国語映画賞と脚本賞の2部門にノミネートされていたが、イラン映画としては、今回初めてオスカー獲得の快挙となった。
アスガー・ファルハディ監督は、感慨深い表情でこうスピーチ。「多くのイラン人が受賞を喜んでもらっていると思います。イランでは、今、戦争の話が出ていますが。この賞をイランの人々全員に捧げます。あらゆる文明を尊重する国民です」。
本作は、離婚の危機を迎えた夫婦が、別の夫婦との関わりを通じて、いろんな社会問題や宗教上の倫理観に触れていく重厚な人間ドラマだ。メガホンをとったのは、ベルリン映画祭銀熊賞受賞作『彼女が消えた浜辺』(09)も高く評価されたアスガー・ファルハディ監督。イラン映画としては、『運動靴と赤い金魚』(98)以来、13年ぶり、2回目のノミネートでめでたくオスカー像を手にした。
ちなみにファルハディ監督は2010年、テヘランで行れた国内映画祭授賞式の発言により、イラン文化・イスラム指導省から本作の製作許可を取り消されたが、不屈の精神で本作を完成させた。現在もイラン映画界では厳しい規制が敷かれているが、今回の吉報が未来を担うイランの映画人たちに明るい光を与えてくれるよう祈りたい。【Movie Walker】
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