第84回アカデミー賞、ホストの評判は「そこそこ」も昨年が最悪すぎて視聴率アップ!

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第84回アカデミー賞、ホストの評判は「そこそこ」も昨年が最悪すぎて視聴率アップ!

2004年以来、8年ぶり、過去8回の経験を持つベテラン、ビリー・クリスタルをホストに迎えた第84回アカデミー賞は、評判はそこそこではあったものの、アン・ハサウェイとジェイムズ・フランコを起用した昨年の大失敗を考えると、成功に終わったというのが大方の意見のようだ。

ニールセンの調査結果によれば、視聴者数では4%アップ、視聴者数は3790万人から約3930万人と140万人増えたが、この結果をどうみるのか、各メディアや視聴者の声をまとめてみた。

USAトゥデイ、NYタイムズ紙、ワシントン・ポスト紙、ウォールストリート・ジャーナル紙、ハリウッド・レポーター誌などの批評をまとめてみると、今年のアカデミー賞授賞式は“無難”“安心”という言葉に集約されることがわかる。昨年の失敗をもとに、ブレッド・ラトナーをプロデューサーに、そしてエディ・マーフィーをホストに迎えるはずだったが、3ヶ月前にアカデミー受賞暦のあるプロデューサーのブライアン・グレイザーとビリー・クリスタルを司会者として迎えた時点で、今年の行方は大体予想がついたはずだ。それでも何かを期待していた人々にとっては、コンサバで面白みがない過去のアカデミー賞に戻ってしまったという印象を与えるようだが、視聴率が増えたことは成功ということができるだろう。

いずれにしても今年は、1929年頃からトーキーという新しい映画の時代を迎えて以来のモノクロサイレント映画『アーティスト』(4月7日公開)が作品賞の最有力候補になり、そして見事に受賞したこと自体がある意味レトロだった。そして会場を映画館に見立てたスクリーンを見せたり、シルク・ドゥ・ソレイユのパフォーマンスが映画館という設定は、映画館で映画を見る観客が減ってしまった現在、再び映画館で映画を見ることの喜びを訴えたいという製作側の意図がマッチした賞になっており、レトロ復活を喜んだり、穏やかな気持ちで賞を鑑賞できたことを評価する声もある。

一般人の中には、『ヘルプ 心がつなぐストーリー』(3月31日公開)が作品賞や主演&助演女優賞にノミネートされたことで、クリスタルが“黒人”という言葉を頻発させたことについて、人種差別主義者だと不快感を覚えたり、大好評だったヒュー・ジャックマンと比較して、ビリーが歌で作品賞を紹介する場面にうんざりしたといった批判的な声も聞かれたが、Usウィークリー誌の一般調査では、10784人中79%が、「ビリーが今後もホストとして続投すると思う」と答えており、こちらも概ね良好な結果になった。

昨今では若者のテレビ離れが顕著だが、今回初めてソーシャルメディアの発達を利用して、アップル社のiPad、iPhone、iPod Touchのユーザーが無料でダウンロードできるアカデミー賞専用アプリOscar Appを設定するという試みが行われた。同授賞式を放映した米ABCテレビが、「家で座ってテレビを見ていることができなくても、Oscar Appや、ツィッター、フェイスブックで、どこからでもアカデミー賞に参加することができます」と若者層に訴えかけたことが功を奏したようで、ウェブやアプリのアクセス者が26日だけで計400万人に達したという。

その結果、たとえば授賞式の見どころとなった、アンジェリーナ・ジョリーが美脚を披露したり、メリル・ストリープが主演女優賞を受賞した瞬間など、興味があるシーンだけテレビをつけてみたという人も多かったようで、視聴率の結果で見られる以上に、若者層の取り込みに成功したといえそうだ。

またあるメディアは、ホイットニー・ヒューストンが急逝した翌日にオンエアされたグラミー賞の視聴者数が3990万人だったことを例に出し、今年のアカデミー賞はまずまずの成功だったと締めくくっている。【NY在住/JUNKO】

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