オスカー受賞のメリル・ストリープが鏡開きのお酒をペロっとなめて笑顔!
第84回アカデミー主演女優賞を受賞したメリル・ストリープが、受賞作『マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙』(3月16日公開)を引っ下げてフィリダ・ロイド監督と来日。3月7日に六本木のザ・リッツ・カールトンで来日記者会見を開催した。メリルと監督は大ヒットを祈願して鏡開きをし、ふたりはそのお酒をペロリとなめて笑顔を見せた。
メリルが演じたのは、“鉄の女”と言われたイギリス初の女性首相マーガレット・サッチャー役。彼女の栄光と挫折を見事に演じ切ったメリルは、29年ぶり3度目のオスカーを受賞したが、本作を演じるにはかなりの苦労があったようだ。「私はアメリカ人でアウトサイダーだったから、イギリスで愛され憎まれた女性を演じることは非常に難しかったわ。また、お年を召されてからのサッチャーさんや、彼女の日常はあまり知られていない。2つを融合させていくことが大変だったの」。
しかも、マーガレット・サッチャーはまだ存命だから、その苦労もひとしおだった。「正確で真実に近い役作りをしたの。彼女は公の人物で政治家だったけど、一人の人間としての生き方に重ね合わせるような演じ方をしたかった。成功した人の伝記映画ではなく、彼女の日常を見つめているところがこの映画を興味深いものにしたと思うわ。学ぶことの多い素晴らしい映画だった」。
また、野田首相へのアドバイスを求められたメリルと監督。メリルは「演技に対するアドバイスであれば、私のところへ来てください」とやんわりスマートに交わしたところはさすがだ。ロイド監督も「震災後、日本に来日するということで、昨年被災された方々の復興に向けての大きな仕事を抱えてらっしゃることをわかっています。とても謙虚な気持ちにさせられます」と、心温まるコメントを寄せてくれた。
メリルは、終始物腰が柔らかく、「日本は何度も何度も訪れたい国です」と語ってくれたのも嬉しい限り。第84回アカデミー主演女優賞(通算3度目。過去に助演女優&主演女優)の他、第65回英国アカデミー賞主演女優賞(通算2度目)、第69回ゴールデングローブ賞主演女優賞(通算8度目)など、数多くの主演女優賞に輝いた『マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙』。一目瞭然、その賞歴に納得の、力強くも琴線を振るわせる映画である。【取材・文/山崎伸子】