エロティック&残虐描写で160年間も発禁となった小説を書いた人物とは?

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エロティック&残虐描写で160年間も発禁となった小説を書いた人物とは?

過激な内容により発禁処分を受けた小説といえば、D.H.ロレンスによる「チャタレイ夫人の恋人」や、ウィリアム・バロウズの「裸のランチ」など、決して少なくない。だが、18世紀末の小説「マンク」のように、160年もの間、禁書扱いされた小説というのは極めて異例だろう。この小説を原作とし、主演に『ブラック・スワン』(10)での怪演が記憶に新しいヴァンサン・カッセルを迎えたゴシックスリラー『マンク 破戒僧』が3月24日(土)より公開されている。

敬虔な僧侶として人望も厚かった主人公が、ある美しい女と関係を持ったことをきっかけに、堕落していく姿を描いた本作。そんな本作の注目ポイントは、何と言っても発禁本ならではのエロティックで残虐な描写がどのように表現されるかというところだ。僧侶である主人公が愛欲に溺れて性行為を繰り返し、果ては殺人や強姦にまで手を染める姿は、抑え気味の描写ながらも、ヴァンサン・カッセルの怪演と相まって独特の妖しい雰囲気を醸し出している。18世紀当時の人々が激しい非難を浴びせ、発禁処分を下したというのも納得できるはずだ。

そんな原作小説を19歳という若さで書いたのがイギリスの小説家マシュー・グレゴリー・ルイス。これだけの問題作を世に出してしまったら、その後はひっそりと隠居者のように暮らす他はなかったのかと思いきや、そうではない。「マンク」が大きな非難を浴びたのは確かだが、その一方で聖職者たちの欺瞞を暴き出したルイス自身は大いに受け入れられ、後にイギリス議会の議員にまで選出されたというから驚きだ。肉欲に支配された背徳的な人物を描いていながら、ルイス自身は至って理性的な人間だったということだろう。肝心の原作本は国書刊行会から1976年に初版が発売されていたが、この度、新装版として復刊することが決定した。映画の公開に伴って問い合わせが相次いだためだそうだ。

発禁本ならではのぞくぞくするような描写はもちろん、中世の幻想的なモチーフを散りばめた映像の完成度も高い本作。ゴシック的な雰囲気が好きな方にはたまらない作品に仕上がっているので、是非ルイスの生み出した背徳的な世界をのぞいてみてほしい。【トライワークス】

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