想像を絶する血の雨に驚愕! 超絶バイオレンス映画『わらの犬』が40年ぶりによみがえる
スローモーションを駆使した銃撃戦の緊迫感は圧倒的。独特かつ徹底した暴力描写で、映像表現に新たな地平を開いたバイオレンスの巨匠サム・ペキンパー監督。没後25年が過ぎても、一種の滅びの美学を感じさせる彼の作品のファンは非常に多く、ジョン・ウーやクエンティン・タランティーノ、ウォシャウスキー兄弟など、現代の映像作家たちもそれぞれの手法で“ペキンパー愛”を表明している。
4月11日にDVD&Blu-rayがリリースされた『わらの犬』は、そんなペキンパー監督の同名作品を40年ぶりによみがえらせたリメイク版。妻と田舎町に引っ越した平和主義者が、排他的な地元民のいやがらせに耐え忍ぶうち、眠っていた暴力性を目覚めさせてしまうという問題作だ。オリジナルは西部劇で名を馳せた巨匠ペキンパーにとって初めて挑む現代劇で、壮絶なバイオレンス描写が多くのファンを生んだ傑作だけに、このリメイク版も製作決定時から注目が集まっていた。
1971年製作のオリジナル版ではダスティン・ホフマンが演じた主人公を、今回は『X-MEN』シリーズのサイクロップス役などで知られるジェームズ・マースデンが担当。気弱な男が一転して暴力の虜となる様を、がらりと表情を変えて荒々しく体現してみせている。主人公の妻を演じる『スーパーマン リターンズ』(06)のケイト・ボスワースも、セクシーな色香を漂わせ好演している。
元ネタがカルト人気を誇る伝説的な作品であるだけに、それとストレートに比べてしまうのは少々酷かもしれないが、閉鎖的なアメリカ南部を舞台にしたリメイク版もなかなかの出来映えだ。現代流のバイオレンス描写で人間の心の奥底に巣くう原始的な狂暴性に光を当てているので、その醜悪さに目を向けてみたい。【トライワークス】
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