妻夫木聡&武井咲が『愛と誠』は「よくわからない映画」と本音を漏らす
故・梶原一騎の同名漫画を原作に映画化した『愛と誠』(6月16日公開)の完成報告会見が3月19日、帝国ホテルで行われ、出演者の妻夫木聡、武井咲と、三池崇史監督が出席した。1974年に映画化、その後もキャストを変更し、映画3本、ドラマ1本で映像化された「愛と誠」。1976年9月の映画『愛と誠 完結編』以来のリメークを三池監督が行ったが、妻夫木と武井は口をそろえて「よくわからない映画」と本音を漏らし、会場を和やかな雰囲気にした。
額に傷を負った不良少年・太賀誠を演じた妻夫木。現在31歳ながら、高校生役に挑戦しており、開口一番に「31にもなって、高校生役をやってすみませんでした」と謝罪。脚本を読んだ時の感想を問われ、「なかなかふざけた映画だと思いました。三池さんの作品の中で、歌って、踊っているものは唯一見たことがないので面白いものになるんだなと。梶原さんの原作の良さを活かしながら、パロっている部分も宅間(考行)さんの脚本で活かされていた。馬鹿みたいに明るい映画ではないと思うんですけど、みんなに楽しんでもらえるかなって(笑)。“純愛エンターテインメント”って言ってるけど、全然“純愛エンターテインメント”じゃないですからね!」と声高らかに宣言。純粋なお嬢様で、太賀誠が額に傷を負った原因となるヒロイン・早乙女愛を演じた武井。映画初出演でヒロインに抜擢された武井は、オファーを受けた時の心境を「三池監督と妻夫木さんとお話ししても最後までよくわからなかったです(笑)」と明かした。
互いの印象を、妻夫木は「咲ちゃんは堂々としていて、監督の要求にも応えるし、頼りになる姉さん的な部分も持っていたりするんですよ。逆に僕が甘えちゃったところもあると思いますね」と18歳の武井をすっかり頼りにしていたようだ。武井は「妻夫木さんの学生姿を間近で見ることができて、とっても特別なことだったなと思います」とお世辞ともとれるコメントを残すと、妻夫木からは「本当かよ!」と突っ込みが飛んだ。現場での様子を、武井は「しっかり台本を読まなくて良いのかなと思わせる現場でした」と語ると、妻夫木は「セリフとかが現場で変わってしまうことが多かったんですよ」と、すかさずフォローに入るなど、息はぴったりだ。
劇中では、登場人物たちの心情をヴィヴィットに伝える「激しい恋」「空に太陽があるかぎり」「あの素晴らしい愛をもう一度」など、世代を超えた名曲を音楽プロデューサーの小林武史がアレンジ、パパイヤ鈴木が振り付けを担当した。脚本の宅間から「ミュージカル映画というアプローチが面白いんじゃないか」と提案を受け、歌や踊りを作品に入れ込んだ三池監督は、「自分の中にはミュージカル映画という概念はあまりなく、ジャンルで分けると、これはバイオレンスラブストーリー。登場人物たちが自分の持ち歌を持っていて、勝手に歌っちゃってるっていう、どっちかというと映画はその迷惑を被っている。セリフでは語られない、全部そのシーンにマッチしているかというと、何か全然この歌、関係ないよねというのもあって、その辺の自由さがキャラクターを示している」と三池節で語った。歌って、踊っている自身の姿を見た妻夫木は「よくわかんないですよね(笑)。想像していた以上に面白かった」と答え、武井も「早乙女愛の踊りは、愛らしさが出た」と満足気な表情を見せていた。
本作は妻夫木、武井のほか、本作には、斎藤工、大野いと、安藤サクラ、前田健、加藤清史郎、一青窈、余貴美子、伊原剛志、市村正親が出演している。【Movie Walker】